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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
最新ソリューションおよびプロフェッショナル人材などを紹介します。

Close Up!P Value Vol.13 テクニカルディレクター編 AI新時代に生み出すインタラクティブな体験

総合制作事業会社である博報堂プロダクツは、18の事業本部にわたる幅広い領域でソリューションを提供しています。価値創造の中核を担うのは、90以上の専門職を構成する2,000名以上の人材です。

 

博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは各職種の提供価値をお伝えすべく、「Close Up!P Value」を公開中。デジタル、リアル、映像、コマース、先端テクノロジーまで、多彩なプロフェッショナルたちの姿を紹介していきます。そしてコーポレートサイトTOPICSでは、YouTubeで語られた内容をさらに深堀りするインタビュー記事を公開していきます。

 

Vol.13では、統合クリエイティブ事業本部からクリエイティブディレクターの伊藤 俊輔とディレクター/エンジニアの小林 大将が登場。体験型プロモーションを企画、実装する専門チーム「ウラワザ」の2人が取り組む、AI新時代におけるクリエイティブを紹介します。

 

2人のインタビュー動画はこちらからご覧ください!

 

AI新時代と向き合い
新しいワクワクをつくる“ウラワザ”

 

――AIの飛躍的な進化を背景に、クリエイティブの価値が問い直される今。AIを含む幅広い領域の技術を自在に活用して「これまでにない体験」づくりに挑戦し続けているのが、体験型プロモーションを手掛ける専門部署「ウラワザ」だ。チームの設立者である伊藤 俊輔は、企画力と技術力の両輪をウラワザの強みに挙げる。

 

伊藤:自分たちで立てた企画を、自分たちで実装できるのがウラワザ。たとえば人には聞こえない音による振動を用いた空間演出を試作したり、体の動きと連動するインタラクティブな映像表現を手掛けたり…。企画からプロトタイピング、実装まで、ソフトウェアもハードウェアもどちらにも対応できる技術力を生かして、面白そうなアイデアを体験価値に落とし込みます。

 

――従来の正攻法が通じなくなった世の中に効く、プロモーションを進化させる“ウラワザ”。チームの名前に相応しく、様々な最新技術から新たな体験を生み出してきた「ウラワザ」は、AIの活用にもいち早く取り組んできた。

 

伊藤:人間相手には頼めないような無茶な指示出しでも、怒らずに実行してくれるのがAIのいいところ。大量にインプットされたテキストからNGワードを検出するような「面倒で誰もやりたがらない作業」をさせるのにAIは役立ちます。

 

――実装面での活用に加え、悩み相談に文字と音声で回答するAIコンテンツや画像生成AIを用いたキャンペーンなど、AIならではのアウトプットを体験設計に生かすソリューションも提供。AIがさらに進化すれば、体験設計の幅はより広がると伊藤は見ている。

 

伊藤:ウラワザがつくったソリューションの一つに、赤外線を利用して室内で遊べる射的ゲームがあります。もしもこれにAIを組み合わせれば、遊ぶ人の属性に合わせてパーソナライズされた標的をリアルタイムで生成する、といった発展も考えられる。今後は個人の仕事や生活を補助するAIエージェントの領域が伸びそうですが、並行してAIの個別最適化が進めば、ユーザー個人に合わせた演出を組み込んだ体験設計などができるかもしれません。

 

統合クリエイティブ事業本部 ウラワザ クリエイティブディレクター 伊藤 俊輔

 

――一方で、AIを取り巻く状況について「まだまだ先は読めない」とも。

 

伊藤:AI分野は、今日の情報が明日には古くなることが当たり前。このスピード感についていくことは簡単ではなく、ひたすら追い続けるか、諦めてしまうかの2択になっている状況です。私自身はSNSなども活用しながら情報を追っていますし、メンバーそれぞれの視点や興味からチームとして幅広い情報が得られるのもウラワザの強みですね。

 

――AIに限らず、最新技術のキャッチアップはウラワザの生命線。技術への感度を高めるのに一役買うのが、“技磨き”と称する集まりだ。

 

伊藤:部会で各々が面白いと思う技術を持ち寄ってブレストするんです。面白そうな技術に対する嗅覚が鋭いエンジニアたちが得た最新の情報をもとに、みんなで面白くなるための着火点を探したり、類似事例との差別化を図ったり、意見を出し合うことで企画に落とし込んでいきます。

 

――ブレストで終わらず一歩踏み出すことが、ウラワザの「実装力」を一層強くする。

 

伊藤:企画になれば必ずプロトタイプをつくるのがウラワザのルール。どうすれば体験価値に落とし込めるか、後で見てもわかる形に残せば、いい技術やアイデアをうっかり忘れてしまわずに済みますし、クライアントへの提案でいち早く実物を見せることもできます。

 

――技術が持つ可能性を常に模索し続けるウラワザだが、こだわりの焦点は常に体験を届けた先にある。

 

伊藤:テクノロジーありきではなく、あくまでやってもらいたい、感じてもらいたい体験がまずあって、その実現方法としてテクノロジーが必要になるという順番。同様に、プロモーションを設計する際にも、伝えたいメッセージありきではなく、どういう体験を提供すればユーザーに伝えたいことが伝わるか、UXをしっかりと考えます。

 

――ウラワザの方針は「世の中がワクワクするものを、ワクワクしながらつくる」こと。AIの登場以前も以後も、面白い体験を生み出すという軸は変わらない。

 

伊藤:プロモーションの目的を達成するためには、やっぱり体験そのものが面白くないと。驕り高ぶりに聞こえるかもしれませんが、「伊藤なら面白いことをやってくれるだろう」という期待で声をかけてもらって仕事が始まると思っているので、その期待には必ず応えたいです。

 

 

3DモデリングもAI活用も
“変なフルスタック”で心に残る体験を実装

 

――生成AIが注目を集めて間もない頃、ウラワザはいち早く生成AIを取り入れた体験型プロモーションを実施した。施策内容は、ユーザーが好みの画風などを指定してテキストや画像をアップロードすると、AIが指定内容に合わせて広告の商品を含む画像を生成するというもの。UGC(ユーザー生成コンテンツ)に画像生成AIを取り入れた施策を手掛けたのは、テクニカルディレクター兼エンジニアである小林 大将だ。

 

小林:当時はまだ、生成AIは世間的にも未知の部分が多い技術という認識が大半で、実際にプロモーションに活用した事例としては国内でもかなり早い取り組みだったと思います。その分、かなりチャレンジングな仕事でもありました。

 

――通常、生成AIの出力にはランダム性があり、そのまま利用するとプロモーションにそぐわない結果が意図せず出力されてしまうことがある。そのため、ユーザーの自由なインプットから不適切な表現が生まれないように制御が必要になる。加えて、プロモーションの性質上、無関係の製品が間違って生成されることも防がなければならない。難題に思われたUGCと生成AIの組み合わせだったが、障壁を乗り越えるのに役立ったのもAIだった。

 

小林:たとえばユーザーが入力したテキストに不適切な表現が含まれないよう、すべての表現を想定した辞書を用意して判別するのは現実的には不可能です。従来のUGCではこのようなモデレーションに苦労していました。しかし、この施策では手製の学習データを用意したことに加え、AIの判断による柔軟なフィルタリングがうまく機能して、安全性を担保することができました。

 

統合クリエイティブ事業本部 ウラワザ ディレクター/エンジニア 小林 大将

 

――小林は「AIの盛り上がりはしばらく続く」とみる一方で、実際にAIを活用する企画では、AIができることについて現実的なラインの見極めも必要だという。

 

小林:AIも万能ではなく、出力が正確でなかったり、大量のデータ処理が必要になると挙動が重くなったり、工夫が必要な部分もあります。AI活用への高い期待と現実的な実装との間で生じやすいギャップをどう埋めるかは今後の課題ですね。ただ、AIを活用した体験設計は、伸びしろがある。少なくとも、AIによってイテレーション(ソフトウェア開発、特にアジャイル開発における、短い間隔で反復しながら行われる開発サイクル)を効率よく回せるようになれば、クリエイティブのクオリティも上がるという側面はあります。

 

――扱いが難しい技術も、広告施策の中で役割を持たせ、体験価値やエンターテインメントに昇華するのがウラワザの強み。手法に囚われない実装を可能にするのは、メンバーの技術力だ。

 

小林:射的ゲームに使うコントローラーの3Dモデリングや回路の設計、マイコンのプログラミングなど、ウラワザのメンバーは幅広い技術領域をカバーしています。一般的な意味でのフルスタックとは毛色が違う、ユニークなフルスタックです。(笑) 

 

――各メンバーの守備範囲が広く、ジャンルを横断して俯瞰できる環境があるからこそ、技術そのものに囚われない自由な発想が生まれ、未知の技術にも積極的に挑戦できる。

 

小林:体験演出ではアーティスティックな個性をウリとする表現も多いのですが、ウラワザが手掛ける体験にはいい意味で“色”がありません。だからどんな領域にもフットワーク軽く挑戦できるんです。

 

――どんな可能性を秘めた技術でも、実際に動かしてみなければわからないこともある。自分たちでつくる実装力を持つチームだからこそ、提供できる体験価値があると小林は実感している。

 

小林:生成AIの活用がそうであったように、「リスクが怖いから使わない」ではなく、面白そうなものはとにかく試してみるのが、ウラワザのカルチャー。試すことでリスクや障壁を乗り越える対策を考えることもできる。これからもそのスタンスは変わりませんし、挑戦するからには人の心に残る楽しい体験を生み出していきたいです。

 

 

博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは、今回登場した二人のインタビュー紹介動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください!

 

【Vol.13】YouTube動画はこちら

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