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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
最新ソリューションおよびプロフェッショナル人材などを紹介します。

博報堂プロダクツが進める地方創生 未来を共に創る:那賀町みらい創造プロジェクトの歩みと希望

博報堂プロダクツは、徳島県那賀町をはじめ、熊本県氷川町、鹿児島県阿久根市の地方創生に取り組んでいます。特に那賀町とは2022年に当社としては初めての地域活性化包括連携協定を結び「那賀町みらい創造プロジェクト」を推進しています。このプロジェクトでは、移住・定住促進、産業振興、住民サービス向上をめざし、地域の力を引き出すさまざまな施策を展開。地域活性化起業人の森昭二や地域力創造アドバイザーの板垣信行が、役場や住民と密に連携し、共に未来を創造する取り組みを紹介します。

 

那賀町のメインビジュアルと、博報堂プロダクツの板垣と森の写真

左:那賀町みらい創造プロジェクト キービジュアル
右:博報堂プロダクツ BPSプロデュース事業本部 地域活性化起業人(那賀町)森昭二、地域力創造アドバイザー 板垣信行 プロフィールはこちら

 

▼博報堂プロダクツが手がけている3つの地方創生

2022年10月:博報堂プロダクツ、徳島県那賀郡那賀町と地域活性化包括連携協定を締結 ~まちの持続的発展を図る「那賀町みらい創造プロジェクト」も発足~ 

2023年1月:熊本県氷川町:博報堂プロダクツ、熊本県氷川町と地域活性化包括連携協定を締結 ~小さなまちで、大きな幸せを感じる「田園都市・氷川」の実現をめざして

2023年8月:鹿児島県阿久根市:博報堂プロダクツ、鹿児島県阿久根市と地域活性化包括連携協定を締結 「阿久根市シティブランディングプロジェクト」新しい阿久根の物語がここからはじまる! 

 

【目次】

・地域を活性化させていくこと=持続可能な町づくり
・地域幸福度(Well-Being指標)
・保育園留学
・廃校を利用した車海老の養殖
・自動運転バスの実証実験
・念願の大相撲那賀場所開催
・初めてづくしの地方創生
・経済的価値と社会的価値の両軸で行う企業経営
・プロフィール
・関連サイト 

 

 

地域を活性化させていくこと=持続可能な町づくり

 

板垣:那賀町は、人口減少という厳しい現実に立ち向かい、持続可能な未来を築くための多彩な取り組みを進めています。私たちがめざすのは、地域の「関係・交流人口」を増やし、住みよい町を実現すること。移住・定住の促進や産業振興、住民サービスの向上など、すべての施策が繋がり合い、地域の活力が生み出されていきます。

まずは、観光や旅行、ふるさと納税を通じて那賀町の魅力を体感してもらうことがスタートです。興味を持った方には、働く場所や住む場所、地域の文化、農業や林業などの仕事、そして生活環境について詳しく情報をご提供し、那賀町への理解をより深めてもらうことが重要です。

私たちは、住民の皆さんや役場と密にコミュニケーションを取りながら、生活環境を充実させるために何が必要か、どんな課題があるのかを一つひとつ話し合い、対策を講じています。那賀町がより魅力的な町となるよう、地域を活性化させていくこと=持続可能な町づくりをめざしています。

 

森:私は現在、徳島県那賀町に住み、地域活性化起業人として日々活動しています。那賀町役場の方々や地域住民の皆さんとのコミュニケーションを大切にしながら、私自身もこの町の一員としてさまざまな課題に直面しています。那賀町での生活を通じて、住民の皆さんが本当に求めている取り組みや、生活環境を充実させるためには何が必要か、どのように喜んでもらえるかを常に考えています。これまでに100回を超える課題解決ワークショップを開催し、多くの取り組みを進めてきました。
私たちがめざしているのは、那賀町の人々が心から誇りに思える、温かく魅力的な町。那賀町の未来を創り上げるために活動しています。那賀町の可能性を信じ、地域の力を引き出していくことに情熱を注いでいます。

 

「人口減少を少しでも食い止める」そのための課題抽出と解決策を那賀町職員の自発的意見をまとめ、以下の施策を実施しています。

 

・通算100回を超えた、職員による課題解決ワークショップ開催

・地域ブランディングの方向性を決定

・地域活性化起業人派遣

・新体育館の杮落としをはじめとしたさまざまなイベント実施

(こどもダンス教室、大相撲那賀場所、ジュニア剣道大会など)

・保育園留学(首都圏園児の受け入れと家族の移住体験)

・廃校を利用した車海老養殖実験

・自動運転バスの実証実験

・大相撲那賀場所開催
 などなど

 

上記に加え、農業DXや、伝統芸能(農村舞台、吹き筒花火)の再生、遠隔診療体制の構築など、これから進めていく取り組みもたくさんあります。

 

那賀町長と博報堂プロダクツの板垣、森が話している様子

 

 

地域幸福度(Well-Being指標)

 

板垣:人口減少抑止施策を成功させるためには、住民の幸福度を上げる視点が重要です。下記は先日、那賀町の住民アンケートによって明らかになった地域幸福度=住民幸福度指標です。

那賀町の住民アンケートによる地域幸福度=住民幸福度指標の図表

板垣:この図で見るべきポイントは、各項目における青色の客観データ(実際にインフラ等から推測できる幸福度指標)とオレンジ色の主観データ(住民が感じている主観的な幸福度=住民幸福度)の差です。

客観データより主観データが低い項目が多くあります。例えば「医療・福祉」では、人口比で病床数などは平均点以上にも関わらず、住民はそう感じていないことがわかります。また「教育機会の豊かさ」「雇用・所得」「事業創造」「初等・中等教育」なども客観データに比べ、主観データがかなり低く出ています。

この「主観データ縮小=実態よりも悪く見えている」を改善しないと、住民幸福度は上がらず、住民はどんどん転出し、人口減少が加速してしまいます。

 

この地域幸福度指標を見てわかることは、客観データ、主観データが共に低いと人口減少が加速し、逆に両者が高いとその自治体が魅力的に感じられているため人口減少は起こりにくい。このように、主観データを向上させていく=赤い枠を外側に広げていくための施策が必要です。このWell-Being指標データを使ってこれまでの取り組みを分析・評価し、新たな取り組みに活用することで、住民が心ゆたかな暮らしができるように地域の幸福度を高め、人口減少を少しでも緩やかにする。それが地方創生の成否を計る上で一つの大事なポイントだと思っています。

 

 

保育園留学

 

森:この2年間で那賀町で行った取り組みの中で代表的なものを4つ紹介します。一つ目は「保育園留学」です。 那賀町職員の「子育て環境」に関する自己評価は、私たちが予想していたよりも低いものでした。これを受けて、地域活性化の一環として「移住・定住促進への取り組み」を進めるべく、昨年の夏に特別なプログラムを紹介しました。それが、株式会社キッチハイクが提供する「保育園留学」の利用です。

町外の園児を受け入れ、その家族が那賀町でこども主役の移住体験をするというこの取り組み。ターゲットは、都市部で働きながら小さなお子さんを育てている子育て世帯です。夏からの半年間で7組のご家族が、自然豊かな那賀町のキャンプ場や旅館で約1週間、ワーケーションしながら移住体験をされました。観光や旅行で来られてもなかなか移住定住には繋がらない。課題解決ワークショップで議題に上がったことのひとつです。

この「保育園留学 」は、家族全員が「地域の暮らしぶり」を直接肌で感じることができますし、何よりも子どもたちにとって那賀町が「第二のふるさと」になる。未来の移住者予備軍をつくるということです。もちろん、この取り組みは地元メディアにも数多く取り上げていただき、大きな話題となりました。この取り組みを通じて、地域の隠れた魅力が掘り起こされ、那賀町での子育てに、新たな価値が見出されることを願っています。

 

那賀町で実施された保育園留学の様子

 

那賀町で実施された保育園留学の様子

 

 

廃校を利用した車海老の養殖

 

森:二つ目は「廃校を利用した車海老の養殖」です。
これは前述の幸福度指標の中で「事業創造」に関する主観的評価が低く出ていたことにも起因するのですが、私たちは、那賀町ならではの新しい特産品を生み出し、地域を活性化させるために「車海老の養殖」に挑戦することにしました。これはふるさと納税も視野に入れた取り組みです。

地元の企業や漁業協同組合の協力を得て、廃校になった小学校を活用し、車海老の養殖に関する実証実験を進めています。育てた車海老は、町長をはじめとする地域の旅館や飲食店の関係者を招いて試食会を行いました。試食会では、どのように調理すれば一番美味しく味わえるかを地元の料理人と相談し、丁寧にメニューを決定しました。来年度からは、ここで養殖した車海老を旅館や飲食店に食材として提供できる見込みです。この車海老養殖事業は、地元のシルバー人材の方々にも協力していただき、雇用の創出にもつながっています。

 

那賀町の廃校を利用した車海老養殖の様子

 

 

自動運転バスの実証実験

 

森:三つ目の取り組みは、 「自動運転バスの実証実験」です。
高齢化が進む那賀町では昨年10月に2つのバス路線が廃止され、住民の移動手段の確保が急務となっています。国の補助金を活用し、昨年11月にレベル2の実証実験を実施しました。
私たちは、将来的には無人で走行する「レベル4」の実験を行い、路線バスの代替手段としての活用を目指しています。この取り組みを通じて、すべての住民が安心して移動できる環境を整えていきたいと考えています。

 

那賀町の自動運転バスの実証実験の写真

 

那賀町の自動運転バスの実証実験の写真

 

 

念願の大相撲那賀場所開催

 

森:そして、最後にご紹介する取り組みは、住民の幸福度を向上させる施策として非常に効果的だった「大相撲那賀場所」の開催です。「遊び・娯楽」に関する評価も低い中、昨年4月に新設した「とくぎんトモニアリーナ那賀(那賀町総合体育館)」の完成を祝う一環として、昨年11月に令和6年秋巡業大相撲那賀場所を実施しました。日本の国技であり、日本の伝統文化が競技の中に色濃く残る「相撲」は、老若男女誰でも楽しめるイベントです。

このイベントには、県内外から約1,800人が来場し、多くの大相撲ファンが集まりました。これにより、地域の関係人口の増加にも貢献できました。また、経済効果も期待以上のものでした。会場内では地元の食材を活用した美味しいお弁当が販売され、さらに会場外では地元企業を中心に20以上の飲食店や特産品ブースなども出店され、訪れた方々を楽しませました。記念グッズもほぼ完売し、地域経済にも大きな貢献を果たしました。

 

那賀町の大相撲開催の写真

 

板垣:これらの活動に加えて「デジタルと豊かな自然が調和した、もっと働きやすく、住みやすい那賀町」を目指し、那賀町未来総合創造戦略を策定しています。客観的・主観的な指標が低い現状を踏まえ、デジタルの恩恵を活かし、便利で住みやすい町に変えていくことが目標です。
先日、那賀町のWebサイトをリニューアルし、近々公式SNSの運用も開始します。デジタル田園都市国家構想交付金の実装タイプ1に申請し採択もされました。


私たちは地域幸福度指標に基づいて施策を進め、評価が低い部分を中心に改善していきます。この「那賀町みらい創造総合戦略」は今後5年間にわたる那賀町の基本計画であり、広告制作会社の枠を超えて、事業会社として町全体をつくり上げていく仕事です。博報堂プロダクツが掲げる、まさに総合制作“事業”会社の役割なんです。

 

 

初めてづくしの地方創生

 

板垣:博報堂プロダクツが地方自治体と地域包括連携協定を結んだのは、那賀町が初めてでした。私自身が「地域力創造アドバイザー」として活動するのも初めてで、森さんを「地域活性化起業人」として那賀町に派遣したのも新たな挑戦です。すべてが手探りの中、自治体職員や地域住民の皆さんと共に、さまざまな施策を一生懸命考え、努力を重ねてここまで辿り着きました。

デジタル化が進むことで、那賀町に住む皆さんはスマホを使って各種手続きを簡単に行えるようになります。高齢者も多いため、2月以降スマホ講座を継続的に実施していきます。私たちがめざすのは、那賀町住民の幸福度指標を向上させ、人口減少を緩やかにすることです。まだまだやらなければならないこと、実現したいことがたくさんありますが、これからも地域の皆さんと共に歩んでいきます。

 

 

経済的価値と社会的価値の両軸で行う企業経営

 

森:初めて那賀町に訪れた際、飲食店の少なさや交通の不便さに驚きましたが、大分県別府出身だからか、不思議と不快感はありませんでした。実際に住み始めて1年半が経ち、日々さまざまな方とお話しする中で、一住民として課題を実感しています。その課題について、職員の方々と真剣に話し合いながら、手探りで一つずつ解決していく姿勢を大切にしています。デジタル化は、私自身の強い願いでもあります。家族と離れて過ごす中で寂しさを感じる日もありますが、趣味の剣道を通じて那賀町の道場に通い、仕事を離れた友人もできました。周りの方々に助けられながら、毎日を充実させています。これからも那賀町の一住民として、さまざまな意見を伺いながら、自分の感じていることを大切にし、役場の皆さんや板垣さんに相談しつつ、那賀町の未来を共に築いていきたいと考えています。那賀町での実証実験において特に効果のある施策については、今後徳島県内やその他の自治体にも展開できればと思います。

 

板垣:民間企業は利益追求がその使命です。しかし、経済的価値を追い求めるだけで本当に良いのか、私は疑問を抱いていました。コロナ禍で多くの民間企業が苦境に立たされ、立ち直れないところも少なくありませんでした。その中で、本当に困っているのは地方自治体ではないかと気づいたんです。職員たちはコロナに罹患しながらも、錯綜する情報を整理し、国の施策に対応し、懸命に住民のために動いている現状を見て、今こそ私たち民間企業が協力すべきだと強く感じました。当時、博報堂プロダクツ 九州支社長だった私は、地方に身を置く者として何かできることがあるのではないかと社会的使命を感じ、これが地方創生に携わるきっかけとなりました。

地方が消えていく可能性のある現状において、博報堂プロダクツが地方を救うことができれば、それは社会的価値の提供につながります。経済的価値と社会的価値の両方を提供することで、企業としてのバランスが取れるのではないかと感じています。私たちはその社会的価値の創出を担っており、その思いを胸に地方創生を進めています。

私は博報堂プロダクツの社員でありながらも、地域力創造アドバイザーとして那賀町以外のさまざまな自治体にも伺います。最近「地方創生をしている理由は何か」と聞かれることも増えました。

私は「日本の持続的発展のためです」と答えています。このままでは東京一極集中が進み、地方が取り残されてしまいます。人口が地方に分散し、住みやすい場所が増えることこそ、健全な日本の姿だと思っています。その実現のために何をすべきか、私たちは今、社会実験を始めたばかりです。この那賀町での取り組みが成功すれば、それを全国に広めていきたいと考えています。私は、日本のために命尽きるまで走り続ける覚悟です。

 

 

【プロフィール】

板垣 信行

博報堂プロダクツ BPSプロデュース事業本部 
BPSプロデュース部 地方創生事業推進チーム シニアエグゼクティブプロデューサー
地域力創造アドバイザー

森 昭二

博報堂プロダクツ BPSプロデュース事業本部 
BPSプロデュース部 地方創生事業推進チーム プロデューサー チームリーダー
地域活性化起業人(那賀町)

 

左から、博報堂プロダクツの森昭二、橋本浩志那賀町長、博報堂プロダクツの板垣の3名の集合写真

 

 

関連サイト


・那賀町Webサイト