総合制作事業会社である博報堂プロダクツは、18の事業本部にわたる幅広い領域でソリューションを提供しています。価値創造の中核を担うのは、90以上の専門職を構成する2,000名以上の人材です。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは各職種の提供価値をお伝えすべく、「Close Up!P Value」を公開中。デジタル、リアル、映像、コマース、先端テクノロジーまで、多彩なプロフェッショナルたちの姿を紹介。そしてコーポレートサイトTOPICSでは、YouTubeで語られた内容をさらに深堀りするインタビュー記事を公開していきます。
Vol.8では、デジタルプロモーション事業本部からプランニングディレクターの太田 峻輔が、デジタルクリエイティブ事業本部からUI/UXデザイナーの伊勢 侑紀が登場。生活者の心を動かす企画・デザインを形にする2人を紹介します。
2人のインタビュー動画は こちら からご覧ください!
UXのゴールへの近道は
プロトタイピングによる体験・体感
――生活者発想と最新技術を掛け合わせ、新しい形のアウトプットを提供するデジタルプロモーション事業本部。プランニングディレクターである太田 峻輔は、フルファネルの戦略構築、統合プランニングを軸に事業立ち上げやアプリ・サービスのローンチに携わりながら、UX/UIのディレクションも担う。
太田:企画で最初に考えるのは、UXにおけるゴールです。UXデザインは、単なるフローを組み立てる作業ではなく、体験の中でユーザーの態度が変容していく過程を考えること。生活者が体験にのめりこんでブランドを好きになれば理想的ですが、コンテンツの入り口でブランドについて「ちょっといいかも」と思ってもらえれば、まずはOK。さらに、コンテンツ単体のUXを考えることはもちろんですが、統合的な施策を組み合わせた場合のUXも合わせて考える必要があります。目的やミッションに応じてUXのゴールは変わりますが、まずはゴールを言語化してチーム全員で同じ方向を向くことが大事だと思います。
――UXを手掛ける上で太田が重視するのは、実際に企画を体験できるプロトタイピングだ。
太田:体験を設計する以上、作る側も実際に体験してみることが大事ですから、企画の初期段階でUXの仮説を立て、テクニカルチームなどと連携して可能な限りプロトタイプを作ります。実際に自分が体験することで感触や使い心地の実感値を得られますし、クライアントにも早々に体験してもらえる。馴染みのない技術や体験について企画書上で説明されても、クライアントは良し悪しを判断しづらいですよね。美しい企画書を何枚もつくることも時には大事ですが、プロトタイプを見て、体験してもらう方がクライアントにとっても納得感のある企画になります。
――これまでにVR会場で展開する大規模イベント、AIを利用した音声コンテンツなど、最新テックを絡めたプランニングを手掛けてきた太田。誰もがデジタルツールを当たり前に使う時代にふさわしい、デジタル領域のプランニングと意識的に向き合ってきた。
太田:プランナーとして、プランニング以外の武器も持っていると強い。私の場合はテック寄りの視点を武器の一つとするべく知見を深めています。デジタルプロモーション事業本部は、テクニカルディレクターとの協業で企画・提案できるのも強みです。実装のプロであるテクニカルディレクターがいることで、クライアントには提案の初期から具体的な実装イメージやリアルな予算感を提示できますし、私自身、最新技術の知見を共有してもらいながら企画へのアドバイスも得られる。技術的、あるいは予算的に難しいと思われる企画でも、テクニカルディレクターと力を合わせれば解決することも多いんです。
――太田が手掛けたあるWebコンテンツでは、想定以上の反響からアクセス過多でサーバーダウンに至ったことも。ヒット企画の実績を積む一方で、クライアントが抱える課題は年々、難化しているという。ブランディングやプロモーションについて高いリテラシーを持つクライアントでも突破できない壁を、どうすれば越えられるか。太田は課題解決のアウトプットよりも、課題発見こそが重要だという。
太田:壁を突破できない理由は、課題設定が間違っているから。課題設定が間違っているということは、課題を正しく把握できていないということ。たとえば「認知がない」「売れていない」は課題ではなく、ただの事象。なぜ認知がないのか、売れていないのかを掘り下げた先に課題がある。課題発見のクリエイティビティこそが、アウトプットのクリエイティビティにもつながっていくんです。
――技術の活用ありきで企画を進めることもまた、目的設定のアンチパターンとなる。テクニカルな企画を強みとしながら、太田が見据えるのはあくまで技術を利用した先の体験価値の実現だ。
太田:UXを突き詰めると合理性ばかり追い求めてしまい、彩りを加える視点は埋もれがち。プランナーは機能美を持たせながら、企画を面白くすることも平行して考えなければいけません。たとえば、今後挑戦してみたいのは“不便な世の中”という提案。AIで効率的に生成できる時代だからこそ、いずれは見直されるであろう不便な体験を軸とする企画を提案したい。あるいはAIにしても、AIそのものが面白いという段階は過ぎて、AIを利用してどういう価値を実現するかがこれから面白くなる領域。生活者が心の底に持っている欲求をいち早く拾い上げることで、結果として時流を先取りできるアイデアを常に考えています。それがプランナーの仕事ですから。
形のないものを形にする
ユーザーに“楽しい”を届けるデザイン
――デジタルコンテンツの制作・実装を担うデジタルクリエイティブ事業本部には、Web、イベントなどプロモーション領域の幅広いデザインに対応するUI/UXデザイナーが在籍する。その一人である伊勢 侑紀はLPやアプリのUI/UX、イベントで頒布する印刷物のデザインなど、デジタル・リアルのクリエイティブを手掛ける。
伊勢:デザインでは、クライアントが訴求したいポイントを伝える配色やレイアウト、商品やサービスから連想されるモチーフづくりなど、ひとつひとつの要素に意味を持たせます。ビジュアル次第で、生活者への価値の伝わり方が全く変わってしまうこともあるので、クライアントと方向性をすり合わせながら、狙いを外さないデザインを心がけています。
――商材やブランドのイメージに沿ったデザインをつくりながら、ユーザーにとっての使いやすさを担保するのもUI/UXデザイナーの役割。使いにくさのあるUI/UXはユーザーにすぐに気づかれるが、使いやすいデザインがユーザーに意識されることは少ない。UI/UXには多岐にわたる隠れた工夫がある。
伊勢:ユーザーが直感的に使い方を把握できるデザインが良いデザイン。たとえば、ファーストビューから文字の大きい順に情報を辿っていくことで必要最低限の情報が伝わるような設計にするなど、情報を視覚的に整理するのも工夫の一つ。細かい調整の積み重ねが、使いやすさにつながります。
――デザインのトレンドは移り変わりが激しい。PC上で見るか、スマホ上で見るか、端末によって見えやすさが変わるように、使いやすさの形も時代によって変わる。伊勢はトレンドを追いつつ、ユーザーにより伝わる手法へのアンテナを常に立てている。
伊勢:最近のトレンドの中では、Webデザインらしくないデザインに注目しています。特徴としては、縦横どこにでもスクロールできるUIや、スクロールするごとに見えるモチーフが変わるUIなどが挙げられます。スクロールのたびに新しい要素が次から次へと出てくるので、情報を単に並べるよりも、商材への興味喚起やコンバージョンに貢献できる。デザインとしての面白みと実利を兼ねた手法で、機会があればぜひ提案したいです。
――伊勢にとって特に手応えを感じられた案件の一つが、野球ファン向けキャンペーンサイトのキービジュアル作成。野球は全くの門外漢である伊勢だったが、キャンペーンのコンセプトに合わせて、ファンと球団との関係をまるで数学のグラフのようにビジュアルに落とし込んだ。
伊勢:野球に詳しくない分、だからこそ自由に発想してみようという気持ちで、楽しくデザインできました。ファン心理という、形のないものに形を与えるデザインの面白さに改めて気づいた案件でもあります。
――同案件でクライアントの好評に加えファンの反応も上々だったことが印象に残ったという伊勢。伊勢にとってUI/UXデザインは、商品・サービスの価値を伝えるものであると同時に、生活者にポジティブな感情を届け、伊勢自身が喜びを得るためのものでもある。
伊勢:イベントやキャンペーンで、私のデザインに触れた方々が楽しんでいる姿を見る瞬間が、やっぱり嬉しい。もちろん、クライアントの売上に貢献するデザインを考えるのがデザイナーの仕事です。ただ、それとは別に、私の制作物を通じて「楽しい」とか「イベントに行ってみようかな」といった気持ちを抱いてもらうのも私のゴール。使いやすさにこだわるだけではなく、体験の中でポジティブな感情を持ち帰ってもらうのが私にとってのUI/UXデザインです。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは、今回登場した二人のインタビュー紹介動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください!
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