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次世代とともに“新しい居場所”を発想する 高校生向け探究学習プログラム「Hasso Camp Project ミライ」に密着−後編−

博報堂DYグループの社会貢献活動である高校生向け探究学習プログラム「Hasso Camp Project ミライ」。博報堂プロダクツからもメンターとして、プロモーションプロデュース事業本部の大原美弥子、MDビジネス事業本部の橋本千里が参加しました。今年のテーマは「Ibasho(居場所)」。今回は3日間の集大成であるday3のレポート(後編)をお届けします。(前編の記事はこちら

 

Hasso Camp Projectミライ参加者による集合写真

 
 目次 

Day3 3日間の集大成!高校生×社員が発想する“新しい居場所”

- “新しい居場所のアイデア” プレゼンテーション

- デンマーク流、世界都市での”居場所づくり”を知る

- 博報堂プロダクツ社員が「Hasso Camp Project ミライ」に参加してみて

 


 Day3 3日間の集大成!高校生×社員が発想する“新しい居場所” 

―Day2のダウンロード―
まずは各グループに分かれてDay2のこども食堂へのフィールドワークの内容を他グループにもダウンロード(ただ共有するだけではなく、あたかもその場にいった気持ちになれるよう、イメージが湧くように伝えること)していきます。

「地域の人が自主的にビラを配ったり食材をくれたり、謙虚だけれどもしっかり努力して地域の人たちに支持されている姿が印象的だった」「こども食堂というので子どものための施設だと思っていたが、親の助けのための食堂になっている一面もあった」「来てくれる人たちだけではなく、ボランティアの人の想いを大切にしているところが新しい発見だった」といった気づきが共有されました。



―アイデア発想とプレゼン準備―
続いて、2日間の経験を経て、具体的に居場所のアイデアを考えていくために“ターゲットインサイト”、“居場所と感じるための大切な要素”、“具体的な居場所アイデア”についてグループワークで議論を深めていきます。考えるときのルールとして3つが提示されました。

“アイデアは皆のもの” 自分の意見だと主張するのではなく、意見に乗っかったり、膨らませたり、チームのアイデアをどれだけ豊かにするかを考える。2つ目は“How do you feel?” ロジカルに考えることよりも、どう感じたかの直観を大事に議論に乗せてみる。最後は“傾聴の姿勢で” 自分と異なるアイデアが出ても、無駄なアイデアは一つも無いので耳を傾ける。これらのルールを頭において議論を進めていきました。


グループワークで決めたインサイト・要素・アイデアを元にストーリーとしてプレゼンできるよう手書きで発表資料にまとめていきます。




 “新しい居場所のアイデア” プレゼンテーション 

いよいよ各チームのプレゼンテーションです。
いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

 

チームおーいほうじ茶
オープンリアル ~いつでもどこでも本音(リアル)が交わる場所~」

チームおーいほうじ茶の集合写真とプレゼンの様子


このチームでは、ターゲットを“進路に悩んでいる高校生”としました。経験者に悩みを相談したい、でも身近すぎる人だとプライベートな内容を打ち明けづらい、というインサイトから、「オープンリアル」という進路相談用のチャットアプリ兼対面相談サービスを提案しました。アプリでは時間や場所に縛られず様々な人の意見を聞けたり、対面ではOBOGの社会人から話を聞くことができたり、合格した人のノートが見られたりといった、高校生の悩みに対して後押しし、一歩踏み出す自信をくれるサービスの提案でした。

 

 

チームぽちゃっこ
「推しの輪を広げよう!!サークル委員会

チームぼちゃっこ集合写真とプレゼンの様子

 

続いてのチームは、ターゲットである“推しにリアコ(=リアルに恋する)な高校生”に対して、つながる場所をつくるお手伝いをしてあげる「サークル委員会」というアイデア。好きなことを誰かと共有する場所が欲しいけれど機会や方法が無い人たちに、メンバー集めやイベントのサポートを行うことで、自分らしくいられる新たな居場所ができて学校生活がより充実するのではないかという内容でした。


チームRASKT
「ココには、初心者もプロもいない ThinkTanQ ~ジブンの“スキ”をシェアする居場所~」

チームRASKTの集合写真とプレゼンの様子


ターゲットは“なりたい像が決まっている・決まっていない高校生”としました。やりたいことがあるのに、きっかけややり方がわからず消化不良の“なりたい像がある”タイプ。自分で自分の限界を決めて自己否定をしてしまっている“なりたい像がない”タイプ。それぞれの想いを同時に叶えられる場所として「ThinkTanQ」を考えました。ここでは“教える”“教えられる”の立場がなく、学生それぞれが得意な分野の知識やアイデア、スキルが共有でき、自分らしい“やりたい”が見つけられる場所として機能しています。


他にも様々なターゲットやインサイトから、居場所のアイデアが発表されました。講評メンバーからも、「リアルでもオンラインでも匿名から入り、仲良くなったら徐々に情報開示していく順番がこの年代にはスムーズなつながり方なのでは」「居場所というテーマの中で、空間アイデアだけではなく組織体・アプリなど形に捉われない形でのアイデアの柔軟さを実感した」「共通キーワードとして、“選択肢があること”“目的が明確”“押し付けにならない助け合い”といった点を感じられた」等の講評をいただきました。

 

左:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 理事長 湯浅誠氏、右:博報堂DYホールディングス サステナビリティ推進室 室長 中島静佳さん

 

 



 デンマーク流、世界都市での“居場所づくり事例”を知る 

デンマークの“都市デザイン”コンサルティング会社で博報堂DYグループでもあるゲールアーキテクツ社のソフィアさんと中村さんから、都市空間デザインが人々の生活に与える影響について最終インプットがありました。

左:読売広告社 都市生活研究所 中村 賢昭さん、右:ゲールアーキテクツ社 ソフィア・シュッフさん


ゲールのあるコペンハーゲンは世界で最も安全で住みやすい都市の一つとされており、公共空間が市民の幸福、安全、ビジネス効率に寄与し様々な人々が「らしく」過ごせる場所が多く存在します。そんな公共空間をよりよい居場所にするために、ゲールの理念である「人と地球のための都市づくり」の実績が紹介されました。都市化が進む中で、建築や都市環境が人々の行動や生活に与える影響についての分析が重要であると話します。

具体的なプロジェクト例として、上海やレキシントンでの取り組みが紹介されました。上海では、人がほとんどいなかった水辺スポットを魅力的な空間に創出し、480万人の市民が集う憩いの場になりました。レキシントンでは、子どもたちが安全に過ごせる公共空間(公園)の必要性が強調され、実際のプロジェクトを通じてその効果が示されています。具体的な事例紹介を通じて、人々が快適に過ごせる持続可能な都市空間のデザインの重要性を教えてくれました。

左図:上海の水辺の様子 before/after、右図:レキシントンの子どもたちの様子 before/after Credit:Gehl

―修了式ー
最後にクロージングとして、「この3日間の学びを活かして、ぜひ想像力と勇気をもって『問うこと』と『発想すること』を大切にして、今後も大きな課題へのチャレンジを続けていってほしい。」という話とともに、各メンターの方々から修了証の授与がありました。

全体での集合写真撮影や懇親会などもあり、やりきった達成感で皆さん非常にいい表情をしていました。参加者の皆さん、3日間本当にお疲れ様でした!


―高校生の感想ー
参加した高校生からアンケートでいただいた感想をいくつかご紹介します。

一つの視点ではなく様々な視点から物事を見る事で感じる気持ちの違いを改めて知り、より大切にしたいと思いました。」

「元々コミュニケーションをとることが苦手だったけど今回参加して、前より人と話したり自分の意見を言うことに自信がついたと思います!」

「課題に対してフィールドワークや頭を付き合わせながら考える機会は、自分の考えや相手の考えの違いを知れるなど良い経験になった。」

正解のない問いに対して向き合うことで、自分の頭で考え、自分と相手の意見の違いを尊重し、仲間と答えを導き出すことの大切さをしっかりと持ち帰ってくれている様子が伺えました。




 博報堂プロダクツ社員が「Hasso Camp Project ミライ」に参加してみて 

博報堂プロダクツから参加した、プロモーションプロデュース事業本部の大原美弥子、MDビジネス事業本部の橋本千里に話を聞きました。

左から、橋本千里(MDビジネス事業本部)、大原美弥子(プロモーションプロデュース事業本部)


ー参加したきっかけ
大原:現在博報堂の100年生活者研究所に所属しており、2023年度は100年生きたくなる「町づくりプロジェクト」の活動で、ウエルビーイングな町づくりにチャレンジしている企業や団体を取材しました。取材の中で、コミュニティや居場所づくりの大切さを知ることになり、今回のテーマはまさに合致したもので、知見を深めるためにも参加させていただきました。


橋本:春から所属が変わり、ファシリテーションや様々な年齢・役職の方と会話するスキルの必要性を感じていたので、それを吸収できるチャンスだと思って参加しました。博報堂グループ全体でつくるプロジェクトというところにも惹かれました。

ープロジェクトを終えてみての感想
橋本:とても濃厚な夏休みという感覚でした。研修自体は3日間でしたが、同じグループの高校生たちとはDAY1以降チームスを通してやりとりしていましたし、テーマもやりがいがあって、高校生たちと一緒に考えながらアイデアを膨らませていました。高校生たちのアイデアをひろって次のフェーズに繋げるなどメンターとしてやることも沢山ありましたし、高校生の発表に上手さや頭の回転の速さに驚くことも沢山ありました。ともに考えてともに成長する。そんなひと夏を経験できる有意義なプロジェクトだったと思います。

大原:時代の変化に驚きました。孫といっても良いぐらいの年齢差のある学生たちとの共同研究だったわけですが、しばしば自分の学生のころとの違いを確認させられる意見が出てきて驚きました。多様性の時代と言われていますが、彼らのこの発想が、いつか具体的なものとなっていくことを想像し、人生100年時代を豊かなものにしていく可能性を感じました。学生たちにとって、そして何より私自身にとっても、刺激的なプロジェクトになったと思います。

 

高校生の皆様だけではなく、参加した博報堂DYグループの社員にとっても、普段の業務の中ではなかなか難しい“じっくり時間をかけて一つの問いに向き合い続ける”という貴重な経験になったと思います。

今後もHasso Campの取り組みは続きますので、ぜひ次世代×博報堂DYグループ社員の新たなシナジーにご期待ください。