写真左から、ダイレクトクリエイティブ事業本部 インタラクションデザイン部 ダイレクトクリエイティブチーム 猪股彩加、望月綾弓、小倉加奈子、柚木めぐみ、内田優子(所属は2024年7月取材時)
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健康食品や化粧品、医薬品、医療・美容サービスなど、クライアントの事業拡大に伴い、薬機法関連の法律に則した広告制作やコミュニケーション開発の需要がますます高まっています。ダイレクトクリエイティブ事業本部には、薬機法対応に優れた専門性の高いコピーライターが複数在籍。近年は各々の知見・経験をかけ合わせたプロ集団として制作の中心となることが増えています。
薬機法関連商材の広告制作における豊富な経験や実績に根ざしたクライアントへの対応力や、生活者に届けるための魅力づくり、攻めも守りもあきらめない柔軟なクリエイティブの源泉など「言いたいけれど言えない」中で最適解をつくる秘訣を、ダイレクトクリエイティブ事業本部の小倉加奈子、望月綾弓、柚木めぐみに聞きました。
【目次】
■チームの力で生活者の行動変容を狙う 薬機法対応広告のプロ集団、誕生
■生活者とクライアントの橋渡しをする広告をこれからも作り続けていくために
チームの力で生活者の行動変容を狙う 薬機法対応広告のプロ集団、誕生
──まず、薬機法対応を得意とするコピーライター集団ができた背景や市場のニーズについて、どのような要因が影響したのかを教えてください。
柚木: 主に健康食品、化粧品、医薬品・医薬品部外品における新聞広告や折り込みチラシ、ダイレクトメール、カタログ・冊子、店頭ツール、バナー、Webサイト、SNSと多岐にわたる種類の広告制作を手がけています。薬機法を中心とした関わる法律に対応したうえで、生活者の行動変容を促して健康維持・増進に貢献することを基本方針に掲げ、広告制作に取り組んでいます。
──「薬機法対応を得意とする専門性」は、クライアントにとってどのようなメリットに繋がるのでしょうか。
小倉:私たちは薬機法が関連する商材やサービスのプロモーションなどにおいて、専門的なニーズに応えることができます。中でも需要が高いジャンルの一つが健康食品です。健康食品は国が定めた安全性と効果に関する基準などに従ってさまざまな種類があります。健康食品の種類によって、広告で使うことができる言葉の範囲がそれぞれ異なります。これまでの豊富な経験と実績に基づいて知恵を絞り、生活者の行動変容に結び付くコピーの提案を含めた広告を制作できることが強みです。
加えて、企画からデザインや撮影を含めた制作、納品までを一気通貫できることも私たちの強みです。特に薬機法に関わる広告は、コピーだけでなくビジュアル面でも薬機法に抵触しないように総合的に判断しながら作り上げていくことがとても重要なため、コピーライターでありながら、デザインのディレクションも兼務することも多いです。
ダイレクトクリエイティブ事業本部 インタラクションデザイン部 小倉加奈子
望月:「その商品に興味を持ってもらうために、生活者にどのように伝えるか」は、広告が果たす役割の軸となるものです。薬機法に反しない表現に細心の注意を払いながら、それぞれのクライアントの要望に合わせた広告を世に出すために力を尽くすことが、私たちの持つ強みだと考えています。
心をつかむクリエイティブの実現―課題と対応力
── 薬機法に関わる広告制作でクライアントが抱えている課題としては、どのような傾向が多いですか。
望月:薬機法に対する見解は企業ごとに異なることも含め、薬機法対応へのいわば“自社内の基準づくり”に苦心されている様子がうかがえます。そのため、クライアントの薬機法に対する基準を十分に見極めながら広告制作を進めています。
小倉:薬機法に関わることを含めたクライアント社内でのリーガルチェックやコンプライアンスチェックは、年々厳しさが増しています。例えば、健康食品で定番の「血液サラサラ」や「若々しい」を用いたコピーは、最近では控える傾向が見受けられますし、以前から使ってきた商品の特長を表すコピーを、別の言葉に替えてリリースし直したケースもあります。
また、コピーを入れる場所や出し方にも工夫が求められ、その商品の特長を伝えるためのコピーでも、大きく全面に押し出すのは避けるといった配慮も必要になってきています。
柚木:コンプライアンスに対する意識の高まりに応じて、広告で使う表現でもクライアントの自主規制は以前より強まっているように感じます。コピーはもちろんのこと、イメージ写真やイラストといったビジュアル面での表現も、より気配りが求められますね。
──薬機法に関わる広告制作に携わるうえで、クライアントの課題を解決し、かつ生活者に商品の魅力を届けるために、どのようなことを心がけていますか。
柚木:薬機法に関わるジャンルでは広告で表現できることが限られているので、差別化を図るコピーを提案するためには、クライアントと丁寧にコミュニケーションを積み重ねていくことが欠かせません。例えば「潤い」がその商品の特長だったら、「どういう潤いなのか」を深掘りします。使用感に寄せた「しっとり」をうたうのか、それとも素材の持つ「とろみ」をうたうのか、方向性を見定めて商品の特長を表すコピーを開発します。
望月:薬機法に対応したコピーを作る際、用いることができない言葉が多くあります。そうした「言いたいけれど言えない」があるからこそ、クライアントへの提案では、攻めのコピーから守りのコピーまでグラデーションを持たせるようにしています。
また、長年お付き合いさせていただくにつれ、リーガルチェックやコンプライアンスチェックの企業傾向を把握できるようなります。そのうえで「同じ商品に対して新しい訴求が欲しい」という要望もあるので、ご担当者の考えや課題感にも寄り添いながら、より深い提案をできるように心がけています。
ダイレクトクリエイティブ事業本部 インタラクションデザイン部 望月綾弓
小倉:私たちが携わる広告では、薬機法以外にも景品表示法や特定商取引法などさまざまな法律が関係するため、情報収集にも常に努めています。法改正などで広告規制に新たな対応が必要な場合も、最新の情報をメンバーで共有し、ご相談やご要望に対して迅速かつ的確に対応できるようにしています。
生活者とクライアントの橋渡しをする広告をこれからも作り続けていくために
──薬機法に関わるカテゴリーの商品は、生活に密着したものですが、広告制作を通して大事にしていること・やりがいを感じていることはどんなことでしょうか。
柚木:健康食品や医薬品、化粧品などの広告制作を通して、生活者の健康や美容に役立つことに関わることができることにやりがいを感じるとともに、必要な商品だと思ってもらえる広告を目指して制作しています。
望月:商品の売れ行きのように数字で表れるものは、広告が生活者に届いているかが反映されやすいので、常に気にしていますね。広告制作を担当した商品のご担当者から「商品の売れ行きが好調で、原材料の調達が間に合わない」というお声をいただけたことは、ここ最近でとてもうれしかったことです。商品の魅力が伝わり購入につながっているという結果はこのうえない喜びで、コピーライター冥利に尽きます。
小倉:職業柄、つい言葉を尽くして説明した広告を作りたくなるのですが、そうするとかえって生活者が理解しづらくなるということもあります。そこで、説明し過ぎないことを意識して、伝わりやすい文字量やデザインなどに考慮して、広告を設計するようにしていますね。
──生活者の健康意識が高まり、薬機法に対応した広告制作のニーズがますます広がる中、皆さんのこれからのビジョンや展開を教えてください。
柚木:薬機法対応を得意とするコピーライターが連携できるようになったことで、メンバー一同、これまで以上に専門性への意識が高まっています。現在、社内のさまざまな部署で「私たちはこんなコピーライターの集団で、こんなことが得意です」といったクレデンシャルを行ったところ、好意的な反応がもらえたのも本当にうれしくて。社内での認知度が高まり、新たな仕事が獲得できることで、組織として薬機法対応への経験値がますます高まるという好循環に繋がると考えています。そのためにも、クリエイティブでの最適解を導ける専門性をより高めていきたいです。
ダイレクトクリエイティブ事業本部 インタラクションデザイン部 柚木めぐみ
【プロフィール】
ダイレクトクリエイティブ事業本部 インタラクションデザイン部 ダイレクトクリエイティブチーム
猪股彩加
広告制作会社にて、コピーライターとして健康食品・美容関連のダイレクト領域中心に実績多数。2024年1月に博報堂プロダクツ入社。現在は食品メーカー、製薬会社など、薬機法関連の案件に多く携わる。オンライン・オフライン問わず、企画構成からコピーライティング、SNS投稿まで幅広く対応可能。
小倉加奈子
広告制作会社でコピーライターとしてSPツール制作などに従事した後、2008年に博報堂プロダクツ入社。ダイレクトマーケティング部門のコピーライターとして健康食品・化粧品などの獲得系広告やCRMツールの制作に従事し、企画から構成・コピーライティングまで幅広く担当。ダイレクト以外の保険・証券・銀行など金融関連クライアントの実績も多数。AFP/2級FP技能士保有。
望月綾弓
広告制作会社でコピーライターとしてSPほかPR系(新卒採用)の制作に従事。2014年に博報堂プロダクツ入社後は、ダイレクトに関わらず食品メーカー、金融、IT、小売、官公庁などのさまざまなツール制作を担当し、企画から構成・取材・コピーライティングまで幅広く対応。現在は食品メーカー、化粧品メーカー、製薬会社など、薬機法に関わる多数の案件に従事。
柚木めぐみ
コピーライター及びクリエイティブディレクターとしてダイレクトマーケティング領域・SPのクリエイティブ開発を中心に担当し、健康食品・美容・医薬品系の実績多数。アクイジションからCRMまで一連のコミュニケーションでLTVの向上に繋がる企画制作に携わる。グラフィック、バナー&LP、EC、CM企画、e−DM、SNSのクリエイティブなど幅広く対応。
内田優子
ダイレクトマーケティング領域を中心に、健康食品・医薬部外品・化粧品などの広告制作からCRMツール制作に従事。製薬会社を10年以上担当していた他、現在は飲料メーカー・食品メーカーの通販商品広告やツールにおける企画提案やコピー制作に多く携わる。