FURIKAKIX フリカキックス(亀田の柿の種専用ふりかけマシン)

OUTLINE

国民的ロングセラー商品のまったく新しい商品価値を引き出した、
これからのプロモーションのカタチ。

亀田製菓の「柿の種」と言えば、発売から50年を超える「日本を代表するロングセラー商品」ですが、一方で新しいユーザー層を獲得していかなければいけないという課題がありました。博報堂とプロダクツのプロジェクトメンバーが、クライアントと共にこれまでにない取り組みに果敢に臨み、見事にそれを解決した業務です。

INTERVIEW

企画制作事業本部 七尾 裕美 | プレミアム事業本部 南山 直人 | プレミアム事業本部 中里 朋美 | プロモーションプロデュース事業本部 加藤 康彦

付加価値(オマケ)から本質価値(商品の良さ)を引き出したプローションの新しいカタチ。

――誰もが一度は口にしたことがある亀田製菓の「柿の種」。ロングセラーの定番商品だけあって、「若年層顧客の取り込み」「さらなる売上げ促進」のための施策をどうするかは常にある課題でした。それを打ち破ったのが、亀田の柿の種専用ふりかけマシン「FURIKAKIX フリカキックス」。博報堂と博報堂プロダクツがゼロから開発をお手伝いし、PR、販売まで手掛けている商品です。

加藤フリカキックスは、柿の種の新しい楽しみ方を提案する「KAKITANEX LABO」の第二弾企画として発売されました。2018年の10月のことです。フリカキックスの発売後、柿の種の売上も上がったとお聞きし、定番商品の新たなニーズを掘り起こすことができたと思っています。

中里フリカキックスが企画になったのは、撮影現場での思わぬ出来事からなんですよね。

加藤亀田製菓さんのとある現場で、たまたまそこにあった柿の種を砕いてお弁当の白飯にかけたら、すごくおいしかった。それで「柿の種をふりかけにする専用マシンって売れるんじゃないかな」と博報堂亀田製菓チームで盛り上がり。亀田製菓の担当者の方もおもしろいと言ってくださったんです。ただ、初めは社内で企画を通すのはむずかしいかもしれない、という反応でした。

中里クライアントの商品を砕いちゃうわけですもんね。

南山僕が担当に入る前になりますが、これまでもこの商品のプロモーションは、例えば「亀田の柿の種の日」を10月10日に設定してスーパーにチラシを置いたり、応募で当たるノベルティを作ったりと、試行錯誤はしていたんですよね。ただやはり、ロングセラー商品なので、ひと通りの打ち手をやり尽くしている感はあって…。

加藤このふりかけマシンはどうしてノベルティ(オマケ)ではなく販売商品にしたの?とよく聞かれるんですけど、ノベルティだとそれ欲しさに瞬間風速的に売上を伸ばすことはできますが、継続購入につながらないという懸念があったからです。

七尾柿の種をふりかけにするっていう新しい食べ方を定着させるには、販売商品として購入してもらうことが大切なんじゃないかなと。オマケとして付いてきたキワモノではなく、一つの調理器具として認めてもらうことで、お菓子やおつまみ以外の食べ方が家庭の日常となり、柿の種の継続的な売上にもつながると考えました。

加藤本プロジェクトのメインプランナーである博報堂の花塚氏とも相談し、そのような提案をしたところ、担当者の方が社内で猛プッシュしてくださいました。

メーカーさながらのこだわった
モノづくりでヒットを狙う

――こうして始まったふりかけマシンの開発。博報堂プロダクツの「アイデアを形にする力」を集結させ、こだわり抜いたモノづくりを実現させました。

南山担当メンバー全員で、要である刃にはとにかくこだわりました。「柿の種がいちばんおいしく削れて、ご飯に合う大きさ」を最終目標に、コーヒーミルやすりごま器など、さまざまな削る器具で柿の種を砕いてみて試食しました。でも、一筋縄ではいかなかったですね。ピーナッツと煎餅で硬さが違うので、煎餅のほうがすぐに粉々になってしまって、柿の種の風味がなくなってしまったり、ピーナッツの油分で目詰まりしてしまったりと、さまざまな問題が出てきて。最終的には刃物で有名な燕三条の工場に相談しながら開発しました。

中里穴の数とか、かさの立ち上がりの角度が違う刃を何度も試作して、おいしく削れるように、目詰まりを起こさないようにと、試行錯誤をしましたよね。

加藤刃が完成した段階で、僕も工場まで柿の種とご飯を持って行って、実際に削って最終確認をしました。クライアントにも持って行って食べていただいたところ「これ、おいしいよ!」ってお墨付きをもらうことができました。

南山刃以外の部分のデザインは、初めはスケッチでいくつかの形状のバリエーションを提案して、実際に手に持った感じや削り心地を検証するために、3Dプリンターを使ってモックをいくつか作り検証しました。1年くらい、模型を作っては触っては削って、をひたすらに繰り返しましたね。いったい何個作ったんだろうというぐらいに。フリカキックスは筒形で、上部に刃がついた筒とハンドルになる筒が組み合わさっていて、ハンドルを回すと削れるようになっているんです。筒の握りやすさはもちろん、「ずっと回していたくなるような削り心地」を目指しました。

七尾実際に削ると、お煎餅のいい香りがすごく立つんですよね。削った柿の種をふりかけ以外にも使えるようにと、三ツ星をとったシェフと一緒にガリガリしながら新しいメニューも考えました。ハンバーグのタネに入れてみたり、バニラアイスにかけてもおいしいんです。アレンジレシピに役立つように、保存容器に目盛りもつけました。

中里色もいろいろと提案して、候補は白、黒、グレーでした。いま流行のおしゃれ家電なども参考にしました。

七尾これをどういう風に売っていくか、PR戦略を立てるとき、まずはネットでおもしろがって買ってくれる人たちをアーリーアダプターとして設定し、そのあとは、主婦たちにオシャレな家電を買うような気分で購入してほしいというストーリーを描いていたので、キッチンにおいても違和感がない白になったんです。

流通販路を新規開拓。メディアで話題の商品に

――販売商品として購入者に選んでもらえるモノづくりからプロモーション、そして販売まで行うのは、広告会社としては異例の試みです。

加藤フリカキックスはおしゃれなキッチン小物という位置付けなので、ふだん柿の種が売られているコンビニやスーパーとは違った売り場の確保が必要だと考えました。ご飯とフリカキックスを持って、色々な雑貨を扱う小売チェーンに商品を売り込みに行きました。私自身、小売のバイヤーに対しての商品導入営業は初めてだったんですけど、そこで実際に柿の種を削って食べてもらったら、みなさん「おいしい、おいしい」って言ってくださったので、交渉はとても進めやすかったです。

中里バイヤーさんも博報堂から商談を受けることってあんまりないので「博報堂さんだからおもしろいモノなんでしょう?」と期待してくださっていて。

加藤その後行った発表会では、すべてのキー局が取材に来てくれました。そしてほとんどの朝の情報番組に取り上げてもらいました。これがブレイクポイントになったと思います。

加藤プロモーションの予算は限られていたのですが、それでもたくさんのメディアが取材に来てくれたのは、亀田製菓の企業としての信頼感、柿の種というロングセラー商品の底力と、それに向き合ってできたフリカキックスの相乗効果が成しえた結果だと思います。

中里有名なユーチューバーの方に取り上げていただいたこともあり、一気に拡散にも成功しました。

これからのノベルティは、「単なるオマケ」から
「商品の良さを最大限引き出すモノ」へ。

――フリカキックスは初回生産の8割を2週間で売り上げ、柿の種の売上も前年週比60%増を記録。この事例は、次の新しい形のプロモーションとして広がっていくのでしょうか?

南山今後、フリカキックスに続く販売品を自社で作っていこうという動きは出ています。実は今も、新しい商品を提案中です。社内でモノづくりからPR、販売までを通してできるのって、博報堂プロダクツならではですよね。

加藤フリカキックスが成功した理由のひとつは、もともと愛されていたロングセラー商品の「本質的な価値」をさらに高めることができた、ということだと思うんです。

七尾そうですよね。私たちの仕事って、その商品にノベルティなどの「付加価値」をつけて購入してもらうということが多いのですが、今回は半ばメーカーさんのような仕事をしながら、商品の本質的な価値を高める「販売商品」を作り出すことができた。広告の制作会社がここまでやっていいんだなという気づきにもなりましたね。

加藤クライアントにも喜んでいただけたし、今後の打ち手が広がったと思います。これをきっかけに博報堂プロダクツ発信で世の中を動かすモノづくりに拍車をかけていきたいです。

プロジェクトメンバー

プロモーションプロデュース事業本部
プロモーションプロデューサー 加藤康彦

プレミアム事業本部
プレミアムプロデューサー 中里朋美

プレミアム事業本部
プロダクトデザイナー 南山直人

企画制作事業本部
グラフィックデザイナー 七尾裕美