自治体や地域事業者のECやDXの課題解決を目指して、2023年2月から提供が始まった地域DXソリューション。博報堂ＤＹグループのEC領域の専門家集団であるHAKUHODO EC＋が 取り組んでいるこのソリューション群は、現在も進化を続けています。
コマーステクノロジー事業本部 もそのメンバーの一員として、様々な取り組みをしております。
今回、東洋大学の学生向け事業設計講座「Eコマースを活用した事業設計講座 ～ハイサイ！沖縄ビジネス道～」が開催され、HAKUHODO EC＋のメンバーが講師として招聘されました。本講座は、沖縄県が抱える専門人材不足という課題に、東洋大の学生が学びを通じて貢献することを目指す講座となって様々な年次の学生が参加しました。
博報堂プロダクツでは、ゲスト講師としてEC構築の基本についての座学とECカートシステムを利用したワークショップを実施。その様子をレポート記事にてご紹介いたします。
「デザインする」とは？／ECサイト・システムに関する講義
今回の講座にはコマーステクノロジー事業本部から安田有里を中心に複数名が参画。ECについての基本的な講義と、ECサイトの構築・運営ができるECカートシステムShopifyを用いたECサイト構築のワークショッププログラムを実施いたしました。
講義では、「デザインする」をテーマにECサイトの基礎的な知識からECサイトの構造・ワイヤーフレームなどを実際のサイトをみながら説明をしていきました。
その後、「ECサイトで必要なこと・優先順位」についてのグループディスカッションへ。最初は学生たちも日頃利用しているECサイトを、買う視点ではない運用する視点でみることに戸惑いを感じてディスカッションが止まるグループもありましたが、博報堂プロダクツの講師メンバーがそれぞれのグループで、何を課題に感じているのか、その理由・背景にあるものはなんなのか、また、競合比較をすることで見えてくる自社の課題の見つけ方などアドバイスを投げかけることで、グループ内でのディスカッションも活発な意見が多くでてくるようになりました。
実際にデザインしてみよう／ECサイト・システムに関するワーク
続いてグループごとに、カートシステムShopifyを活用したECサイト制作を実際に作成する課題に取り組みました。
通常、ECサイトの作成は複雑で難しいプロセスが伴いますが、Shopifyを使うことで驚くほど簡単にECサイトを立ち上げることが可能です。また、この世代の学生は、デジタル技術に特別な親しみを持っており、直感的に操作することができるので、Shopifyのようなインターフェースと豊富な機能も十分に使いこなすことができ、自分たちのアイデアを形にしていくことができました。
最終発表会・審査・結果発表／ワーク全体の最終報告会・講評・振り返り
最後の講義は、グループごとに作成したECサイトのプレゼンが実施されました。プレゼンには本講座の課題クライアントとしてご協力いただいた協賛企業の担当者もオンラインにて参加。各グループ持ち時間５分で、以下の３つのポイントでプレゼンを実施しました。
① Shopifyを活用して作成したECのデモサイトのデザイン・構成・戦略について
② ターゲット・マーケティングコンセプト・プロモーションプランについて
③ ECサイトオープンからの3か月間のSNS活用案
グループ発表をきいた企業担当者および博報堂・博報堂プロダクツ講師陣からは、課題をここまで仕上げたことへの評価とともに、ビジネス現場視点でのフィードバックなど貴重なコメントや感想が多くあがりました。
■企業担当者・博報堂プロダクツ講師からの主なコメント
【協賛企業からのコメント】
・プレゼンテーションでは、熱意が感じられ、聞きやすい内容でした。学生のみなさんがとても熱心に考えていただいて準備してくれたことに感謝します。プレゼンしていただく中で、ファンになるということについての定義や、それを実現する方法についての様々な視点が盛りこまれているのが非常に興味深かったです。さらに、「文化資本」といったようなワードセンスにも感銘いたしました。プレゼンいただいた内容はどれも明日からでも活かせるような有益なものでした。
・発表いただいたECサイトはどれも商品の見せ方がシンプルかつ綺麗で、かつBtoB向けのコミュケーションに絞ったアプローチが取り入れられていたのも興味深かったです。プレゼンいただいた視点は自分たちでは思いつかないものが多く、新鮮で興味深い内容でした。特に商品視点からのPR戦略や販売方法（例えば4本セットの提案）が面白く、サンプリングや社会ムーブメントとして盛り上げていくプロモーションプランは参考になりました。フォロワーが少ないことは実感としてあったので、その気づきと改善案も提示頂いたので課題の抽出力の鋭さも素晴らしいと感じました。全体を通して多くの考察がなされ、学びの多い機会となり感謝しております。
【講師・博報堂プロダクツ 安田有里からのコメント】
・発表していただいた学生たちは普段から買い物に慣れており、商品やECサイトをよく観察しているため、生活者・購買ターゲットにとっても見やすい・理解しやすい内容が盛り込まれているものばかりでした。
課題に取り組む時間が限られている中でも、クーポン画像や動画のサムネイルまでこだわって作り込むなど、各チーム個性のあるプランニングができていてとても面白かったです。
学生たちのアンテナの高さに触れて刺激を受けましたし、これを機にEC業界に興味を持ってくれて将来的に一緒に仕事ができたら嬉しいです。
全プログラムを終えて／今後に向けて
後日、講義に参加いただいた学生からの感想と本プログラムの担当者からのコメントをご紹介します。
【参加した学生の感想（アンケートより一部抜粋）】
・自分の考えを形にすることの楽しさや難しさは実際に体験してみないと分からないことだったのでとても良い経験になりました。また、他の学部や学年の方と関わることが出来て楽しかったです。
・実際に企業のECサイトを作る事で、どういったコンセプトを持たせるか、どういったプロモーションをするかを企業目線で考えることが一番の良い経験となった。
・他学年・他学部の人と共に活動する貴重な機会を持つことができて新鮮でした。実際にECサイトを構築するときや発表に向けて準備を進めて行く中で難しいと感じる瞬間が多々あったが、勉強になることも多く、参加して良かったと感じています。グループワークの機会が少ない1年生の段階で参加できてよかったです。
【東洋大学就職・キャリア支援部 腰山雅基さま】
就職・キャリア支援部は、2020年度から4年間の中期計画において、Society 5.0に向けた就業意識の醸成を掲げ、学生がVUCA時代に活躍するために、独創的なアイデアやシーズをビジネスに結び付けるマインドセットや、起業的視点を身に付けることを目標に取り組んでいます。
新聞・ニュースなどから様々な情報を収集していく中で、人手不足に直面している企業が多いこと、特に商品開発や広報戦略、DXなど特定の経営課題を抱える企業が多いことがわかりました。この課題のうち、特にDXに関する経営課題を学生がお手伝いできたらよいのではないか、それは学生にとっても貴重な経験になる、と考えたことが本プログラムを始めたきっかけです。その後、協力先の企業や講師などを検討しながら今回の「Eコマースを活用した事業設計講座 ～ハイサイ！沖縄ビジネス道～」の開催にいたりました。
学生募集に関しては、定員30名のところ50名の応募があり、選考の結果、現在の受講生が確定しました。最終プレゼンでは、クライアントを唸らせるアイデアが多く出てきて、時間が大幅にオーバーしてしまうこともありましたが、脱落者もなく、とても有意義なプレゼンになったと実感しています。
今回の取り組みがうまくいけば、同様の課題を持つ他県にもアピールできると考えています。この取り組みが、学祖である井上円了先生が全国巡講したように全国に広まれば、建学の理念を踏まえた本学にしかできない就職・キャリア支援となり、本学学生が当初の目標に沿った力を身に付けることができると考えています。
博報堂プロダクツでは、今後もHAKUHODO EC+が提供する地域DXソリューションを担う一員として、全国の地方自治体様や事業者様向けのDX・ECを支援してまいります。既に多くの地方自治体からのお問い合わせも多く、様々な取り組みを並走させて頂いており、産直ECモール構築や、ふるさと納税サポートなど、ニーズが高い項目については日々機能強化も行っております。単発の支援ではなく、中長期的にご支援できる体制も整った為、今後はより多くの自治体様への周知活動を進めていきたいと考えています。
また、ECカートシステムのShopifyとのアライアンスも強化しており、2025年1月にはShopify社より「Shopify Plus Partner」の認定を受けています。このパートナーシップを活用し、EC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」を通じて、Shopifyを活用したECサイト構築支援だけでなく、戦略設計から運用、デジタルマーケティングに至るまで、クライアント企業のEC事業全体をトータルサポートしてまいります。
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