総合制作事業会社である博報堂プロダクツは、18の事業本部にわたる幅広い領域でソリューションを提供しています。価値創造の中核を担うのは、90以上の専門職を構成する2,000名以上の人材です。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは各職種の提供価値をお伝えすべく、「Close Up!P Value」を公開中。デジタル、リアル、映像、コマース、先端テクノロジーまで、多彩なプロフェッショナルたちの姿を紹介しています。そしてコーポレートサイトTOPICSでは、YouTubeで語られた内容をさらに深堀りするインタビュー記事を公開していきます。
Vol.11では、デジタルクリエイティブ事業本部から動画ビジネスプロデューサーの伊藤 広基、ディレクター / ビデオグラファーの渡部 正人が登場。映像コミュニケーションの多彩なニーズに応える動画制作のプロフェッショナルたちを紹介します。
2人のインタビュー動画はこちらからご覧ください!
クライアントに寄り添う対応力で
あらゆる課題を動画で解決する
――成長が続く動画コンテンツ市場において、生活者の行動を促す広告動画から社内教育向けハウツー動画まで、動画を起点に幅広い領域の課題を解決するデジタルクリエイティブ事業本部。動画ビジネスプロデューサーの伊藤 広基は、クライアントの課題に応じて“筋の通った提案”を徹底している。
伊藤:Web動画やSNS動画をはじめ、デジタルサイネージ動画、運用型動画など、動画と名のつく制作業務であれば、なんでも対応するのが私たち。提案の幅を広く用意できる分、撮影の有無やデザインの方向性など、アウトプットの組み合わせは無数に考えられます。その中から、「なぜこの手法が適しているのか」「なぜこの金額になるのか」といった根拠を明確に、筋の通った提案を組み立てるのがプロデューサーの役割です。
――単なる「納品物」ではなく、クライアントの課題を解決するための動画づくりにこだわる伊藤。特に重視するのはクリエイティブの目的を明確にするプロセスだ。
伊藤:動画コンテンツの特徴は手軽に見ることができて、かつ視聴者に自分ごと化してもらいやすいこと。その強みを引き出すためには、目的の深掘りが欠かせません。単にリーチの最大化を目指すのか、あるいは商品購入といった具体的なコンバージョンが目的にあるのか。とりあえず動画をつくりたいというニーズももちろんありますが、その場合にもクライアントが成果を得られるような提案の組み立てを心がけています。
――中長期の案件であれば、ペルソナの再設定やシーズナリティに沿った企画提案など、継続的な成果を見据えた改善も行う。“つくって終わり”にしない姿勢は、クライアントとのコミュニケーションにも貫かれている。
伊藤:たとえばツールの使い方を説明する動画で「操作画面を、人が実際に操作している姿とともに見せたい」という要望をクライアントが持っているとします。もちろん、要望に沿って撮影することもできますが、本来の目的を考えれば、大切なのは画面上で操作の流れを見せること。操作する人物を撮影するよりも、画面上にモーショングラフィックやナレーションを加える方が視聴者にとってわかりやすい動画になると思えば、そう提案する。言われた通りにつくる“待ちの姿勢”ではなく、目的に向かって主体的にクライアントと並走することを常に考えています。
――ニーズに応じた柔軟なクリエイティブを支えるのは、多彩なスキルに裏付けられた対応力を持つクリエイターたちだ。
伊藤:プランナーやコピーライター、UI/UXデザイナー、モーションデザインやCG制作を担うディレクター、ビデオグラファー…当事業本部には様々なプロフェッショナルがいて、多彩なクリエイティブを制作できます。クライアントの要望に急な変更が発生しても、ぴったりのクリエイターがすぐに見つかるので、スピーディーに対応できる点も強みです。
――テレビCMのエディターとしての経歴を持つ伊藤は、実制作の経験からアウトプットのイメージを素早く描いてクライアントに提示する。「制作開始のタイミングがほんの少し違うだけでもクオリティは変わる」と伊藤は実感を込めて語る。
伊藤:プロデューサーはクライアントのニーズを具体化して段取りを組む先導役であり、プロジェクトを前に進める推進力でもあります。自分が動かなければ流れが止まってしまう。デザインでも、編集でも、クリエイティブの現場では一日分の作業を確保できるかどうかがクオリティの質に大きく関わります。私がめざすのはクリエイターの力を最大限に発揮してもらえる状態。「何があっても何とかして進める」ことが自分の役割だと、日々実感しています。
――難しい舵取りも「振り返れば全ての案件が面白い」と語る伊藤。動画ビジネスはまだまだ開拓の途上で、未知の発見がある。
伊藤:テレビCM業界の出身ということもあって、動画ビジネス領域では「こんなことも動画にできるんだ」と驚く機会が未だにある。動画化できるコンテンツはまだまだ限りなくあるので、動画によって施策の効果を100から120に引き上げるような貢献をしていきたいと思っています。また今後はゼロから案件をつくるような提案にも積極的に取り組みたいですね。動画だけに閉じずに、デジタルクリエイティブ事業本部の強みを生かした施策を提案し、自身の幅も広げていきたいです。
マルチスキルと高機動力で
映像制作の新時代を拓く
――企画、撮影、演出、編集といった映像制作の全プロセスを一手に担うビデオグラファー。単独で工程を進められるがゆえの高い機動力とマルチスキルを特徴とする制作スタイルが世の中に広まったのは、ここ数年の出来事だ。
渡部:10年以上前に、アメリカでプロデューサーとエディターを兼任するプレデター(Preditor)というスタイルが流行りかけたことがありました。そのトレンドは結局、リーマン・ショックの影響もあって映像業界が不景気に覆われ、下火になってしまったのですが…。代わりに台頭したのがビデオグラファーです。ハード、ソフトの進化と共に映像の制作ハードルが低くなったところに、SNS動画を中心に短期サイクルでの大量生産が求められるようになり、低コストかつスピーディーな制作スタイルがニーズにマッチしたんです。
――「ビデオグラファーは、これからさらに認知が広がる段階」と語る渡部 正人は、元々は映画のカメラマン志望だった。渡米して映像制作について学び、現地のテレビ局勤務やプロダクションマネージャーといったキャリアを経て、現在はビデオグラファーに。渡部のマルチスキルには、キャリアの中で培われた映像制作のハウツー、プロ機材の使い方、広告映像への知見といった裏付けがある。
渡部:たとえば編集を見据えた撮影、演出を行うなど、後工程を考えながら制作できることも、ビデオグラファーならではの強みです。特に、私の場合は効率を最大限高めることに注力しています。たとえば、編集段階では、あらかじめ変更パターンを何通りも想定しておく。クライアントからの戻しに対しては、卓球のようにテンポよく即座に打ち返す。クライアントの目の前で編集画面を開きながらその場で編集案を提示することもあります。
――SNS動画を数多く手掛ける渡部は、プラットフォームごとの特性に合わせた編集や調整も得意とする。視聴者の興味を惹きつけるという点においては、細部まで意匠を凝らす。
渡部:奇をてらえば目立ちはするものの、本当に伝えたいことから離れてしまうこともあります。私が制作で意識するポイントは、伝えたいメッセージを自然と視聴者に気づいてもらうこと。視聴者の目に留まり、『面白そう』『知りたい』といった感情が自然と引き出され、気づいたらクリックしているような、そういう工夫を施しています。
――動画制作における常識は絶え間なく移り変わる。市場の盛り上がりとともに、求められる工夫の水準も瞬く間に高くなっていく。
渡部:少し前は冒頭3秒が勝負と言われていたのが、今や0.4秒が勝負の世界。ユーザーがスマホをスワイプする動きは0.5秒以下と言われていて、その認識できるぎりぎりの瞬間に視聴者の注意を引く。動画から拾って欲しい情報を、いかにその瞬間に込められるかという点が工夫のしどころです。
――フレーム単位のこだわりに限らず、数々の制作Tipsを駆使する渡部。ある案件では、数十万以上のアーカイブ映像から素材を選り抜き、1日半で編集。同じチャンネルにアップされていた有名監督の作品を超えて、トップの再生数を記録した。スピードとクオリティを両立するビデオグラファーの真骨頂だ。
渡部:一つ一つの制作工程に専門のプロが関わる方が、確かにクオリティは高くなるかもしれません。ただ、ビデオグラファー全体の傾向として、映像制作のクオリティが年々上がっているのは間違いありません。
――技術の進化とともに、ビデオグラファーの活躍する領域は広がる。一方で、制作ハードルが低くなり裾野が広がれば、クリエイター個人としての付加価値が求められる。渡部はクライアントの課題解決を軸に据えながら、最新技術のキャッチアップにも熱心だ。
渡部:ビデオグラファーの中でも撮影が得意だったり、デザイン性の高い画作りが得意だったり、マルチスキルの中に個性があります。私の場合は編集を軸足に、効率化、高品質化を進めていきたい。特に今はAIツールの活用にも積極的に取り組んでいるところです。訴求ポイントからプランニングしてメッセージ性に沿った動画を制作するといった基本を大切にしつつ、技術を味方にクリエイティブの可能性をどんどん広げていきたいですね。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは、今回登場した二人のインタビュー紹介動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください!
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