総合制作事業会社である博報堂プロダクツは、18の事業本部にわたる幅広い領域でソリューションを提供しています。価値創造の中核を担うのは、90以上の専門職を構成する2,000名以上の人材です。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは各職種の提供価値をお伝えすべく、「Close Up!P Value」を公開中。デジタル、リアル、映像、コマース、先端テクノロジーまで、多彩なプロフェッショナルたちの姿を紹介していきます。そしてコーポレートサイトTOPICSでは、YouTubeで語られた内容をさらに深堀りするインタビュー記事を公開していきます。
Vol.6では、インセンティブプロモーション事業本部からチーフプロデューサーの柏原 陽子と、MDビジネス事業本部からプロデューサーの川副 智司とプロダクトデザイナーの橋本 千里が登場。モノ・コトの両面で生活者の心を動かすプロモーションや商品開発に携わる3人のプロフェッショナルを紹介します。
3人のインタビュー動画は こちら からご覧ください!
購買を後押しするモノ・コトの提案で
ブランド価値を長く愛されるカタチに
――ノベルティグッズの製作や、イベント・旅行といった体験価値の提供など、生活者の購買意欲を生み出し働きかける施策を実装するインセンティブプロモーション事業本部。チーフプロデューサーの柏原陽子は、プロモーションの施策立案・実施から各種インセンティブの企画・開発・調達・製造までをトータルでプロデュースする。
柏原:キャラクターのコラボグッズから複雑な仕組みの電化製品まで幅広く対応できるモノづくりを軸に、近年は“コト”の提案も増えています。たとえば、旅行のプレゼントであったり食事会への招待であったり…中にはクライアントとブランドのファンがブランドへの思いを語り合う交流イベントも。“コト”の提案は、心に残る体験やストーリーを通じてブランド価値を伝えやすいのが強み。購買行動を後押しするだけではなく、モノ・コト両面からブランド価値を最大限に引き出すインセンティブを実装するのが私たちです。
――特に強みを持つのはプロモーションにおけるキャスティングの幅広さだ。長年キャラクター関連のコンテンツビジネスに携わってきた柏原をはじめ、多彩なコンテンツに対応できるスペシャリストがクライアントのニーズに合った提案を行う。
柏原:キャラクター、ブランド、アーティストといった分野別に担当チームを分けていて、それぞれのチームに高い専門性を持つメンバーが揃っています。各々の得意分野だからこそ集められる質のいい情報をチーム間で共有するので、最新のトレンドに合わせて料理人からHIPHOPアーティストまで幅広いジャンルのキャスティングに対応できるんです。
――複数のブランドやIP(知的財産)を活用するコンテンツコラボでは、ブランドの相性を見極める力も必要だ。
柏原:コラボは、人気のブランド同士がつながれば成功するというものではありません。ブランドの持つ世界観がマッチしていなければ、生活者に届けるためのプロモーションやストーリーの設計が難しいですし、クライアントはもちろん、タイアップ先にとってもメリットがなければ企画が成り立ちません。ブランドの親和性とそれぞれのメリットは、間に立つ私たちがしっかりと見極めて調整する必要があります。
――数々のタイアップ実績と蓄積されたナレッジをベースに、柏原は新しいビジネススキームの構築にも取り組んでいる。その一つが、IP活用のコンサルティングだ。
柏原:魅力的なIPを持ちながら、活用方法に課題を抱えているコンテンツホルダーは多いと感じています。そのようなクライアントと伴走して、既存IPの商品化、IPを活用したビジネスの構築支援を提供しています。具体的には、実際に届けたいエンドユーザーに刺さるブランド戦略の設計、ライセンシーの獲得、アプルーバル業務(商品の監修業務)などをお手伝いします。IP活用は利益以上にブランド価値向上に役立つ領域。ブランディングの知見を持つ私たちが貢献できる部分も大きいと感じています。
――ビジネス領域が拡大しても、クライアントから預かったブランド価値を生活者に届けるという軸は変わらない。品質チェックにおいても細部までこだわる柏原は、プロデューサーもモノづくりの現場に赴くべきだという。
柏原:モノが出来上がる製造工程を実際に目で見ることで、不良品が出るリスクについても把握できるようになりますし、製造に関するクライアントの疑問にも答えられます。結果的に提案の幅も広げられる。プロデューサーは提案力も大事ですが、製造現場を知るということがとても大切なんです。
――モノづくりへの厳しい目線は、生活者に長く愛される品質を届けたいという気持ちの現れでもある。
柏原:10年以上前に手掛けたグッズについても、いまだにユーザーの方からメンテナンスのお問い合わせをいただくことがあります。いいモノを作れば、生活者に届く感動も大きく、長く愛用していただけるという実感が私たちのやりがいになる。これからもモノづくりを中心に、コンテンツコラボやIPの活用支援といった領域でも挑戦を続け、生活者に長く愛されるような価値を届けたいですね。
マーケットデザインの視点で
トレンドの先を見据えた企画を
――MDビジネス事業本部は、OEM・ODM、商品開発支援などを通じて、キャンペーンのセット販売品やクライアントのオリジナル商品などの企画、開発・製造、販売戦略まで、生活者を惹きつける商品の実現にワンストップで対応する。
川副:企画、プロダクトデザイン、生産管理、品質保証といった各領域のプロが、モノづくりでクライアントの課題を解決するのが私たちのチームです。プロデューサーの役割は、予算やスケジュールといった制約条件下でチームの最善のパフォーマンスを引き出すこと。その上で、全体の設計を左右する企画力も求められます。
――企画力こそがMDビジネス事業本部の強みだと語るのはプロデューサーの川副智司。企画では、モノづくりにかかわる高度な専門知識とクリエイティブな発想、市場・生活者ニーズを汲み取った仮説といった要素に加えて、ユーモアも大切だという。
川副:たとえばキャンペーン商品やセット販売品であれば、真面目すぎない、遊び心のある商品づくりが当社の強みのひとつです。手に取った人がふっと笑えるような面白さや笑いのエッセンスは、口コミやバズを生み話題づくりに貢献することもあるので、販売戦略の観点でも有効です。
――クライアントのニーズとしては、瞬間風速を重視する話題づくりとは別に、生活者に長く愛されるモノづくりもある。定番商品を生み出すためには、角度の異なる切り口が必要だ。
川副:長く店頭に並び続ける、ロングセラーとなり得る魅力を持つには、利便性やスペック、デザイン面でもエンドユーザーに評価されるものでなければいけません。たとえばミニマリストが支持を集める時代には、なるべくモノを持たなかったり、ひとつひとつのモノを無駄なく使ったりといった消費のあり方が広がる。そういう時代における便利さを考えると、普通の使用方法とは違う、使い方の工夫ができるようなもの、たとえばスリーウェイバッグのような多様な使い道がある商品が求められるかもしれません。
――「機能性」という切り口ひとつをとっても、中身を紐解けば生活者にとって様々な便利さがある。キーワードの解像度を高めるのも企画に必要な手順だ。ときには商品そのものにとどまらず、売れた先に実現できることも視野に入れる。
川副:商品には、生活者の手に渡るだけで終わらず、手に取った先で生活者の行動を促せるものもあります。たとえばテーマパークで販売されているグッズを単なるお土産として購入するのではなく、グッズを身につけて施設を楽しむまでをワンセットのカルチャーとしてとらえるなどの例があげられます。売上をつくるだけではなく、プロダクト起点で中長期に渡って続くムーブメントの創出を狙う。そういった企画も、社内の各部署と連携することでトータルの販売戦略まで提供できます。
――より大きな仕掛けも視野に入れた仮説を立てるには、マーケター的思考も必要だ。川副はデータを活用しながら、同時に自身の感覚も研ぎ澄ませてマーケットに対する感度を高めている。
川副:すでに起きているトレンドについてはクライアントも把握していることが多く、だからこそ、当社ならではの新しい視点を提供する必要があります。独自性のある視点には、定量的な分析やリサーチも必要ですが、それだけでは見えてこない体感としてのトレンドも大切です。日常の中で見かける売り場やヒット商品の情報、ひとりの生活者としての自分の感覚、チームメンバーと議論して得た視点など、お金で買えないデータにヒントが詰まっています。
――クライアントのニーズに応える、それ以上の価値を提供するために、川副は市場トレンドの先を見据え、生活者目線をもって世の中の“欲しい”を形にする。
川副:MDビジネスのMDが意味するところは“マーチャンダイジング”であるとともに、“マーケットデザイン”でもあります。すでに起きているトレンドにあわせるだけではなく、これからのトレンドを牽引するようなモノづくりは、私たちの強みが発揮される領域。ぜひ課題解決に活用していただきたいです。
モノがあふれる時代だからこそ
価値や共感をモノづくりで届ける
――MDビジネス事業本部において、商品のコンセプト設計やデザイン、3Dプリンターを用いた試作など、包括的なデザイン業務に携わるのがプロダクトデザイナーだ。橋本千里はこれまで、玩具や化粧品、NFTを活用したキャラクターデザインなど多種多様なモノのデザインに携わってきた。
橋本:ぬいぐるみのデザインを考えた後に電化製品のデザインを考えるなど、プロダクトデザイナーは扱うジャンルの幅が広く、その中で各々が好きな分野を持っています。私の場合は、自分の中で起きるその時々のブームにしたがって、夢中になれる分野に全力を注いできました。
――キャラクターデザインに注力した時期には、社内のキャラクター開発ユニットに中心メンバーとして参画。化粧品容器に熱中した時期には、化粧品関連のあらゆる案件に飛び込んだ。高い熱量はプライベートにも及ぶ。化粧品容器が好きで捨てられないという橋本の自宅には、容器のコレクションが収納ボックスに保管されている。そんな橋本の現在のブームは商品企画だ。
橋本:最近は新規クライアントへの自主提案にも取り組んでいます。世の中にまだ魅力が伝わっていない商品の、売れるポテンシャルを引き出すお手伝いをしたい。たとえばターゲットを変えたデザインであったり、素材を活用した別のデザインであったりといったアイデアで、地道に提案活動を続けています。
――「今はモノが売れない時代。デザインが良いというだけでは埋もれてしまう」と語る橋本。デザインには狙いが必要だと考えている。
橋本:どの案件においても、より多くの生活者に届けるマーケティングのためなのか、企業価値を伝えるブランディングのためなのか、まずは目的を整理する必要があります。マーケティングであればトレンドのロジカルな分析と仮説を踏まえたデザインに、ブランディングであれば、アイコニックな形状やブランドならではのカラーリングが必要です。独自性を高める分、検証や製造にかかる時間とコストはかさみますが、ブランドのデザインとして認知されれば、シリーズ商品も手に取られやすくなるなど、投資した分の効果を得られる。プロダクトデザインで完結せず、売るための手段も当社ならワンストップで対応できます。
――ブランディング重視、マーケティング重視のいずれにも対応できる経験を積んできた橋本だが、どの案件も始まりにおいてはゼロベースで取り組むという。生活者にどのような価値を届ける商品か、商品が持つ本質的な価値を把握するためだ。
橋本:本質を掴むと、たとえば化粧品であれば、「おしゃれなパッケージを制作したい」という表面的なニーズだけでなく「クリームで肌を補正してコンプレックスをなくすことで、笑顔を増やせる」といった商品が生み出せる本質的な価値が見つかり、それをデザインに落とし込めます。モノの本質は売り場に行っても見えづらいもの。売り場は生き物で、同じ商品でも売り方や売る時期によって見え方が変わるためです。その本質を掴むには、モノが持つ歴史やルーツに向き合う必要がある。一つとして同じ商品はないですから、経験を積んできた領域であっても、経験値だけで仕事を進めないように気をつけています。
――本質を把握できれば、変えずに残すべきエッセンスと変えられる要素のラインを見極められる。ありきたりにおさまらず、デザインの可能性を広げるのもデザイナーの仕事だ。
橋本:たとえば社会課題の解決に向き合うデザインには、真面目すぎてデザインの幅を狭めているものも多いと感じています。サステナブルでありながら、人の欲望にも忠実なプロダクトがあってもいい。生活者も欲しくなるような面白いアイデアに挑戦するのもデザイナーの役割だと思っています。
――アイデアの一部はプロダクトデザインチームが運用しているnote「プロダクトデザインチームマガジン」で発信している。コンセプトは「あたらしい価値をカタチに。」。橋本が目指すのは、プロダクトを通じて新しい価値に触れさせ、人や社会を動かすデザインだ。
橋本:「青色が好き」という視覚障害者の方に、好きな理由を聞くと、「空や海の自由なイメージがあるから」と教えてくれたことがありました。それってすごくいい色の解釈だと思ったんです。単にトレンドのカラーとしてではなく、色が持つ深い意味や価値を魅力的に伝えられるのもデザインの力。ともすればモノを買うのに疲れ、関心のないモノや価値がシャットアウトされてしまう時代ですが、だからこそ新しい価値や共感を生み出せるのもプロダクトデザインの力だと信じています。
博報堂プロダクツ 公式YouTubeチャンネルでは、今回登場した3人のインタビュー紹介動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください!
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