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社会貢献活動の推進を目指す企業が増える一方、生活者を巻き込んだアクションの創出に課題を抱えるご担当者様も多くいらっしゃいます。
博報堂プロダクツは2023年10月、企業と生活者がともに社会貢献活動へ参加する機会を生み出すソリューションとして、ドネーション付き缶バッジで生活者・企業・社会をつなぎ、寄付をもっと身近にする「KIHUMO(キフモ)」の提供を開始しました。
KIHUMOが提供する仕組みや開発経緯、これからの展望について、プレミアム事業本部の村田と本村と野本に話を聞きました。
【目次】
■ものづくりとサステナビリティの専門性を活かしたソリューション
■生活者の自発的なアクションを促す仕組みづくり
──「KIHUMO」の概要について教えてください。
本村:KIHUMOは、博報堂プロダクツのプレミアム事業本部が提供するドネーション(寄付)付き缶バッジです。企業の貢献したい社会課題にあわせたオリジナル缶バッジを企画・生産、販売し、生活者が缶バッジをご購入いただくと、売上の一部が社会活動を推進している団体へ寄付される仕組みとなっています。
KIHUMO(キフモ)の名称には「寄付“も”できる」「寄付を“も”っと」という意味が込められています。社会貢献活動に参加したいが一歩を踏み出せない、そんな生活者の方々にとって、自分の好きなブランドや企業の商品購入を通じて寄付に参加できる、まさに「寄付がもっと」身近になるきっかけを生み出します。
――KIHUMOが誕生した背景について教えていただけますか。
村田:昨年5月に弊社が実施した調査※で、企業が抱えるサステナビリティコミュニケーションへの課題が浮かび上がりました。そのなかで「顧客を巻き込んだアクションに賛同が得られない」といったコミュニケーション構築に関する課題や、「顧客が参加したくなる仕掛けや体験を通じてコミュニケーションを図る」ことへ注力していきたいといった調査結果が得られました。
※博報堂プロダクツ 企業のサステナビリティコミュニケーションに関する調査
そこで、生活者を巻き込んだサステナビリティアクションを実施したいと考えながらも活動が企業内で完結してしまう、そんな状況を打破する新しいソリューションが必要だと考え、「KIHUMO」を開発しました。
――なぜ、KIHUMOは生活者を巻き込んだアクションを生み出せるのでしょうか。
本村:難しい手続きをしなくても、缶バッジを買うことで寄付ができるので、参加に対するハードルを下げることができます。また、寄付への興味関心からだけでなく「好きな缶バッジを買ってみたらそれが寄付に繋がっていた」というようなKIHUMO缶バッジへの興味関心をきっかけに社会貢献への参加機会を生み出せる点もポイントです。
村田:これまで企業は企業で、生活者は生活者でと個別に行っていた寄付を、KIHUMOが架け橋となることでともに行うことができます。そういう意味では、企業が生活者を巻き込むというよりは、お互いが同じ志のもとで、並走しながら社会貢献活動に取り組める仕組みと言えるかもしれません。
――企業にとっても、生活者を巻き込んだ社会貢献活動に踏み出す一助となりそうですね。開発プロデュースとは、具体的にどこまでの範囲をプロデュースされるのでしょうか。
村田:寄付先の選定サポートから、貢献したい社会課題や企業ブランド・キャラクターに合わせたオリジナルデザインの缶バッジ製作・生産、販売先の開拓までトータルでプロデュースしています。
流通網のプロデュースでは、全国最大2,000箇所に展開する「カプセル玩具の販売ネットワーク」を活用し、販売先をご提案することも可能です。展開数は缶バッジごとに異なりますが、店舗やECなどの販売網をお持ちでないクライアントも、KIHUMO缶バッジを展開することができます。
■ものづくりとサステナビリティの専門性を活かしたソリューション
──本ソリューションにおけるプレミアム事業本部の強みはなんですか。
村田:プレミアム事業本部とは、その名の通り、プレミアムグッズをはじめとした販売品・販促品を企画・開発から製造・品質管理までワンストップで行っています。現在はものづくりを軸に、事業本部内でSDGsに関するプロジェクトを立ち上げ、人権を意識したサプライチェーンの管理や、環境に配慮したプロダクトの製作にも取り組んでいます。
こうしたサステナブル領域における知見やノウハウを生かして、KIHUMOではクライアントが対応したい社会課題のコンサルティングや、信頼性の高い寄付先の選定サポートも提供しています。事業本部内にプロダクトデザイナーが在籍しており、企業の課題やブランドに合わせてデザインされたオリジナル缶バッジを製作・生産することが可能です。
――缶バッジのデザインはどのように決定されていくのでしょうか。
本村:クライアントの手掛ける事業や貢献したい社会課題、自社キャラクターの特徴などをヒアリングしながらデザインしています。
――缶バッジをデザインされる際はどのようなことを意識されていますか。
野本:手に入れて終わりではなく、「集めたい」「身につけたい」と思っていただけるデザインを意識しています。「私はこんな社会課題に貢献しているよ、興味関心があるよ」という意思表示として着けていただいたり、缶バッジをきっかけに会話が生まれ、社会課題について考える機会が増えてくれたら嬉しいです。
こうした考えから、缶バッジは身につけた時のことを考えてデザインしています。例えば、ビジネスシーンを想定して小さなサイズにしたり、ファン活のような使い方を想定しバッグにつけた時に見栄えのいいデザインにするなど、届けたいターゲットにあわせて缶バッジの大きさ、配色、形も選定しています。
村田:最近、SNS上でスタンプ機能を活用し「投票へ行こう」や「被災地を応援」などのメッセージを発信、それが社会に広がっていく光景を目にします。アイコンを見た方が「私も投票しよう」「募金しよう」と善意のアクションが広がっていく。この現象をアナログに落とし込んだのがKIHUMOです。
――ほかに、デザインで気をつけている点はありますか。
野本:インクルーシブの視点も大切にしています。例えば、人によって色の見え方が異なる色覚多様性の観点を取り入れ、認識しやすい色やかたちにするなど、あらゆる方々に優しいデザインになるよう心掛けています。
――現在、KIHUMOを通じて、どのような社会課題に貢献することができますか。
本村:緊急医療支援、災害支援、教育支援、食料支援、女性の活用支援、生物多様性保護、貧困世帯・子どもの保護、海洋や森の環境保全など、SDGsの17のゴールを網羅した、計22団体(2024年1月現在)の中からお選びいただくことができます。
――企業と寄付先をマッチングさせる際に意識していることはありますか?
村田:私たちがKIHUMOを通じて実現したいのは、寄付を通じてその企業や商品をさらに好きになってもらい、企業と生活者の継続的な関係性を生み出すことです。そのためにも、生活者から見た時に、「なぜその企業が、ここに寄付するの?」という違和感が生まれないことが重要だと考えています。
――昨年10月にリリースしてから、KIHUMOに対する反響はいかがでしょうか。
本村:多くのクライアントからお問い合わせをいただいています。例えば、食品メーカー様による貧困家庭支援や、スポーツ団体様のお子様の夢支援など、展開する事業や貢献したい社会課題に応じたご相談をいただいています。特に、KIHUMOを通じてクライアントと生活者と寄付先のすべての方が幸せになれる仕組みを好評いただいています。
■社会にいい影響を与える「ものづくり」を目指したい
――KIHUMOの今後の展望について教えてください。
村田:缶バッジ以外のアイテムバリエーションの拡大、デジタル上のアイテムを活用したKIHUMOの開発にも挑戦したいと考えています。
――それは素敵ですね。最後に、プレミアム事業本部としてのサステナブル領域での取り組みについて、今後の展望を教えていただけますか?
本村:これまでスローガンとしてきた「もらって嬉しい、高品質なプレミアム」という思いはそのままに、社会にいい影響を与えられるものづくり、持続可能なものづくりを目指していきたいと思います。
村田:KIHUMOは活用方法が限定されない、柔軟性と万能性のあるソリューションです。缶バッジは販売ではなくノベルティとして配布していただいてもいいですし、寄付先やデザインごとに缶バッジを複数展開し、生活者の方に好きな缶バッジを選んでいただくといった取り組みも可能です。
今後は寄付先をさらに広げ、より広い社会課題に貢献できる仕組みづくりを進めていきます。貢献されたい社会課題が明確な企業様も、選定からお悩みの企業様もまずは気軽にお問い合わせください。
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【プロフィール】
村田 聡一
プレミアム事業本部 品質保証部 部長
大学卒業後、プラスチック雑貨メーカーに入社し、企画営業や生産管理を経験。2007年、博報堂プロダクツに転職。プロデューサーを経て、現在は品質保証部で、製造品のリスクアセスメント、サンプル評価、CSRチェック、問い合わせ対応などを担当。
本村 菜那
プレミアム事業本部 プロデュース部 プロデューサー
2020年、博報堂プロダクツに新卒入社。これまでに、自動車メーカー、ファーストフード、住宅メーカー、化粧品などの企業を担当。現在は、製品の企画段階から調達過程まで、サプライチェーンのサステナブル化推進に取り組んでいる。
野本 貴恵
プレミアム事業本部 プロダクトデザイン部 デザイナー
大学卒業後、生活雑貨メーカーに入社し、店舗運営、生産管理、商品企画デザイナーを経験。2022年、博報堂プロダクツに転職。ファーストフード、テーマパーク、製薬会社、小売店など、幅広い業種のアイテムのデザインを担当。