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デジプロのテクニカルディレクターは
「現場の代弁者」であれ

デジプロの
テクニカルディレクターは
「現場の代弁者」であれ

熊谷
清水さんから見て、これまでのお話を踏まえて「デジプロのテクニカルディレクターはこうあるべき!」という点でご意見などありますか?
清水
立ち位置としては、「クライアントに近い博報堂」と「制作現場に近い博報堂プロダクツ」という関係があると思います。そのような関係性の中でデジプロのテクニカルディレクターが存在感を出していくには、「現場を背負い、現場を代表する」という姿勢が大切ではないかと思います。そういう意味では、現場の統合的な意見、技術的な意図の説明が求められるようになっているのはとても素敵だと思います。デジプロのテクニカルディレクターが、現場を代表して現場の意図やモチベーションを持ち込めるというのはとても尊いことではないでしょうか。
もちろん、モノづくりの現場ではクライアントの意図を汲んでいくことは非常に重要ですが、デジプロで活躍されているテクニカルディレクターのみなさんは、まずは「現場の代弁者」という立場でいてほしいと思います。
熊谷
確かに、その視点はとても重要ですね。デジプロのテクニカルディレクターは作る現場を監督する立場であり、クリエイティブディレクターやプランナーなどと協働しながら、最終的なアウトプットを現場のエンジニアと練り上げていきます。そんな彼らのモチベーションが上がる方向に舵取りをしていく、そして現場から出てきた良いアイデアをどんどんクライアントに届けていくことを大切にしています。
清水
モノづくりの良さは現場の細部にこそ宿るとも言われています。制作の細かい部分にまでこだわりを注ぎ込むという作業は、制作現場のテクニカルディレクターとエンジニアのコミュニケーションでしか生まれないとも思うのです。デジプロの皆さんには、そんなテクニカルディレクターを目指していただきたいと思います。

テクニカルディレクターは
現場のモチベーションを
上げる「翻訳家」

熊谷
加えて、制作現場のテクニカルディレクターには実現しようとしている企画のコアバリューとなるものを現場に浸透させていくという視点も重要ではないかと思います。企画のコアバリューといっても、それをそのまま伝えようとしても現場のエンジニアやクリエイターには伝わらない。そこで彼らに伝わるように翻訳するという作業も重要ではないかと思います。
清水
モチベーションですね。実は、制作現場にとっては、作ったものが世の中にどのような影響を与えたのかという点はあまり強い関心がなかったりします。企画したプランナーの熱意が、実は現場にはあまり響いていないこともあります。企画の意図を技術的に変換して現場にチャレンジングな課題として提示するという作業は、とても重要だと思います。
熊谷
確かに、企画サイドの考え方と制作サイドの考え方は全く違う場合がありますね。それぞれの立場でしっかりとモチベーションを高めて、いいものを作っていく方向に舵取りをするという立場は、案件が大きくなればなるほど重要になっていくと思います。
清水
そうですね。テクニカルディレクターという仕事はとにかく「翻訳家」だと思います。考える立場と作る立場それぞれの「萌えポイント」がわかっていないといい仕事はできません(笑)。昨今、立場やバックグラウンドの違う人たちが一緒に仕事をすることが多いなか、私たちテクニカルディレクターの役割というのはどんどん重要になっていくと思います。

「作っていて楽しい!」
と思えるときは、
良いモノが生み出せる

熊谷
テクニカルディレクターというと「技術的に難しいことをわかりやすく」というイメージが先行している感がありますが、逆に「現場にわかりやすく伝える」という部分が担えると、良いものが生み出せる可能性が格段に広がっていきますね。
清水
私自身、モノづくりに長年携わってきて、「作っていて楽しい!」と思えるときはとても良いモノが生み出せるんです。テクニカルディレクターの翻訳が上手くいって作り手の「萌えポイント」にヒットすると、みんなが楽しみながらモノづくりをしてくれると思うんです。
熊谷
モチベーションが下がらないし、良いものが生み出されていく。
清水
実は、モノづくりにおいてはそれが一番効率いい。テクニカルディレクターにはそういう「楽しい現場を作る」という役割もあると思います。
熊谷
そうですね。もちろん、前提として案件の企画意図やコンセプトの理解は必要ですが、デジプロのテクニカルディレクターにとっては制作現場の環境づくりがとても重要だと思います。

テクニカルディレクターは
“作り手”の感覚を
忘れてはいけない

清水
最後に、テクニカルディレクターに求められるのは、「自分でモノが作れる」ということだと思います。例えば、BASSDRUMのテクニカルディレクターには様々なバックグラウンドを持った人が集まっていますが、全員1年に1度以上は必ず自分でコードを書いてモノづくりをしています。現場との距離感を維持したりフィーリングを共有するためには、自分が作り手であり続けることは重要なことだと思います。
熊谷
多様性は組織の価値になっていくと思いますが、ひとつの哲学は通すべきですね。多様性の中にも、作り手のフィーリングが根付いていることはとても大切だと思います。
清水
この考えは、私がアメリカで活動していた時代に着想を得ているのですが、実は当時アメリカの広告会社や制作会社でテクニカルディレクターやクリエイティブテクノロジストと名乗っていた人たちは、自分たちでモノづくりを全くしなかったんです。
熊谷
え、そうなんですか?

テクニカルディレクターは
事業領域を拡大する
キーパーソンになる

清水
そうなんです。現場との距離感がある中でそういう職種を名乗っている人たちがいて、「これは良くないな」と思ったのを覚えています。ただ、私自身はアメリカでエンジニアリングもテクニカルディレクションも経験して大きな手応えはありました。最初は広告の案件が多かったですが、徐々にスタートアップ企業のテクニカルディレクションの仕事なども入ってきました。広告クリエイティブ領域以外に仕事の幅を広げるという意味でも、テクニカルディレクターの役割は大きいと思います。
熊谷
確かに、プロモーションやPRの領域だけでなく、博報堂グループとしても様々な領域で「インターフェイスを作る」を標榜している中で、テクニカルディレクションの感覚がないと長く使われる良いものは作れないと思うんです。博報堂プロダクツの中でも、技術を飛び道具的に使うのではなく、普遍的なものとして活用するようになってきました。テクニカルディレクションの重要性が高まっていることを実感しています。
清水
そうした転換点におけるキーパーソンとしてテクニカルディレクターの立場は大切だと思います。クリエイティブを作る会社から、インターフェイスを作る会社、(会社や社会の)仕組みを作る会社へと広がっていく中で、テクニカルディレクターは重要な役割を果てしていくのではないでしょうか。

日本の
テクニカルディレクション
文化を
世界に

熊谷
清水さん、本日はありがとうございました。私にとって清水さんは「雲の上の存在」みたいな人で、一緒にワークショップなど様々な取り組みをさせていただいていますが、いつか一緒にモノづくりの案件を手がけてみたいですね。そして、モノづくりの楽しさに気づいてくれる作り手をそれぞれの立場で一人でも多く育てていきたいと思います。現在の協業が発展していくと、BASSDRUM、博報堂、博報堂プロダクツそれぞれのテクニカルディレクターたちが新しい化学反応を生み出していくのではないでしょうか。次のステージがどんなものになっていくのか、とても楽しみです。
清水
こちらこそ、ありがとうございました。テクニカルディレクターという職種の人は増えれば増えるほどいいと思います。なので、こういう形で仲間が広がっているのはとても楽しいです。また同時に、私は日本で培っていくテクニカルディレクションの文化を海外にも広げていきたいという目標も持っています。その中で、私たちのような小さなコミュニティだけでは上手くいかないこともあるので、博報堂や博報堂プロダクツの皆さんと、一緒に世界に挑戦できる機会を作っていきたいですね。
熊谷
デジプロの中でも、BASSDRUMの皆さんを見ていても、テクニカルディレクターの個性が増えれば増えるほど、テクニカルディレクターの可能性も広がっていくと感じています。そうした個性が日本だけでなく世界を元気にする力になっていけばいいですね!